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総務省、美作市・太陽光パネル新税を「差し戻し」、市と発電事業者が再協議へ

2022/06/15 12:52
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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総務省は美作市に対し、特定納税義務者との再協議を要請した
総務省は美作市に対し、特定納税義務者との再協議を要請した
(出所:日経BP)
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 総務省は6月7日、地方財政審議会を開き、岡山県美作市が導入を目指している「事業用太陽光パネル税」の新設について討議し、同市に対して「特定納税義務者」と再度、協議を尽くすよう要請するとの方針を示した。

 特定納税義務者とは、新税の納税対象となる事業者のうち、納税額の多い義務者で、美作市のパネル新税では、納税額の8割以上を、パシフィコ・エナジー(東京都港区)が開発・運営している「パシフィコ・エナジー美作武蔵メガソーラー発電所」(太陽光パネルの出力42MW)と「パシフィコ・エナジー作東メガソーラー発電所」(同257.7MW)の2サイトが占めている。

 同審議会では、「美作市と特定納税義務者より意見の聴取を行ったが、両者の主張に開きがあり、話し合いが不足しているのではないかと考えられる。一方で、両者ともに、できる限り調整したいとの意向をもっていることが確認できた」としている。

 事業用太陽光パネル税は、地方税法に基づく法定外目的税で、パネル設置面積に応じ、発電事業者に課税するもの。美作市の市議会が昨年12月に同税を創設する条例案を審議し、賛成多数で可決していた。

 法定外目的税の創設には、自治体の議会で条例が可決された後、総務大臣の同意が必要になる。総務大臣の同意には、国の経済政策、今回の場合、エネルギー政策に反しないか、国税または他の地方税と二重課税にならないことなどが検討される。

 地方財政審議会では、「パネル税はこれまでに例のないものであり、同意基準に照らして慎重に検討する必要がある」との認識に立ち、再生可能エネルギー推進施策との関係性、法定外目的税として、受益と負担との関係から、事業用発電パネルの事業者に負担を求めることに対する根拠について、市に詳細な説明を求めるべきとして、意見を聴取してきた。

 美作市は、パネル税の課税根拠について、大規模な太陽光発電所が地域環境に与える負荷を主張しているのに対し、特定納税義務者側は、林地開発許可制度に従って岡山県から指導を受け、県の求める水準を超える治水対策を実施していることなどを主張している。

 今回の総務省の求める再協議によって、こうした美作市と特定納税義務者との溝が埋まるのか、今後の行方が注目される(関連記事:「太陽光パネル税」、美作市議会で可決、パネル1m2当たり「50円」)(関連記事:「太陽光パネル税は公平性の視点で疑問も」、乾弁護士に聞く)。

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