三菱重工業は、再生可能エネルギーで最大1日100tの水素を製造し、岩塩空洞に貯蔵しておく「水素ハブ」を米国に建設する。貯蔵した水素は、火力発電所の燃料に利用する。再エネ由来水素の製造プロジェクトでは世界最大級という。6月14日発表した。
米国ユタ州に再エネ由来水素の製造・貯蔵施設となる水素ハブ(Advanced Clean Energy Storageプロジェクト)を建設する。三菱重工グループは、このプロジェクトの特別目的会社(SPC)としてAdvanced Clean Energy Storage Iを設立、出資した。このSPCが、米国エネルギー省(DOE)融資プログラム局から5億440万米ドルの融資保証を受けた。
同プロジェクトは、水電解装置による水素製造プラントと岩塩層を利用した水素貯蔵設備から構成される。再エネを利用して水を電気分解することで、1日あたり最大100tの水素を製造する。また、ユタ州地下に存在する岩塩層を用いて、それぞれ約5500t以上(発電電力量150GWh規模)の貯蔵能力を持つ2つの巨大な岩塩空洞に水素を貯蔵する。
Advanced Clean Energy Storage Iは、三菱重工グループの米国現地法人である三菱パワーアメリカ(Mitsubishi Power Americas)および岩塩空洞の開発・運営会社であるMagnum Developmentにより設立されたACES Deltaが、同プロジェクトに向けて設立した。
DOE融資プログラム局は、4月に今回の融資保証を条件付きで承認しており、6月3日に融資保証が供与された。再エネプロジェクトがDOEプログラムの対象となるのは約10年ぶりであり、再エネ由来水素に対する米国当局の強いコミットメントを示すものとしている。
水素ハブは、ユタ州で発電事業を行うIntermountain Power Agencyの発電所更新プロジェクト(IPP Renewed Project)に再エネ由来の水素を供給する。既存の石炭炊き発電設備を、同社が供給する最新の84万kW級水素炊きガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電所にアップグレードする。2025年に再エネ水素を30%混焼して運転し、段階的に水素の割合を拡大し、2045年までに100%再エネ由来の水素による運転を達成する計画。