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2021年の太陽光新規導入量は175GWで過去最大に、REN21報告書

再エネは記録的に増加もシェア停滞、目標と行動にギャップ

2022/06/17 22:11
工藤宗介=技術ライター
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世界の発電量に占める再エネ発電の割合は28.3%で、2020年の28.5%と同水準だった
世界の発電量に占める再エネ発電の割合は28.3%で、2020年の28.5%と同水準だった
(出所:REN21)
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太陽光発電設備の累計導入量の推移
太陽光発電設備の累計導入量の推移
(出所:REN21)
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 再生可能エネルギー関連の国際団体であるREN21は6月15日、年次報告書「再生可能エネルギー世界白書2022(GSR2022:Renewables 2022 Global Status Report)」を発表した。再生可能エネルギーの設備容量および発電電力量は記録的に増加した一方、発電量に占めるシェアは増加しておらず、再エネへの移行が進んでいないと警告している。

 電力分野における2021年の再エネ発電設備の追加量は、2020年比17%増の314.5GWと過去最高を記録した。再エネ総設備容量は11%増の約3146GW、年間発電量は7793TWhに達した。その一方、世界の発電量に占める再エネ発電の割合は28.3%で、2020年の28.5%と同水準だった。2021年の電力消費は前年比6%増加したが、その増加分の多くが化石燃料で賄われ、世界のCO2排出量は2020年比で20億t以上増加し、史上最大の増加量となった。

 太陽光発電については、原材料や運送コスト上昇などサプライチェーンに混乱があったものの、2021年に175GWが増加し、累計では942GWに達した。2021年の175GWという太陽光の新設市場規模は、2020年よりも35GW増えて、単年の導入容量では過去最大となった。

 2021年11月の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)開催までに、過去最多となる135カ国が2050年までにネットゼロを達成することを約束した。しかし、同白書によると、これらの国のうち、国全体の再エネ目標を掲げていたのは84カ国、再エネ100%の目標を掲げていたのは36カ国にとどまった。COP26では、史上初めて石炭使用量の削減の必要性に言及したが、石炭と石油燃料のいずれについても削減目標を求めることはできなかったとの課題を指摘する。

 また、2021年は1973年のオイルショック以来、最大のエネルギー価格の高騰が起こった。同白書によると、ガス価格は年末までに欧州とアジアで2020年水準の10倍、米国で3倍に上昇し、電力市場の高騰を招いた。さらにロシアのウクライナ侵攻が、エネルギー危機を深刻化させ、空前の燃料価格の高騰を引き起こし、化石燃料の輸入に依存する136カ国以上に影響を与えたという。

 特に、欧州向け天然ガスと石油に輸出を停止するというロシアの驚異は、再エネ移行への緊急性を高めている。この危機への対処として、欧州連合(EU)や各国・自治体は、再エネ目標を更新し、エネルギー転換を加速するための数々の施策を推進している。その一方で、旧来の手法への依存も続いており、多くの国では石油燃料に対して新たな補助金を導入している。石炭・石油・天然ガス産業は、エネルギー危機と政府対応から恩恵を受け、利益と影響力の両方を得ていると指摘する。

 こうした状況は、目標と行動の間に深刻なギャップがあり、再エネに基づく経済・社会への移行がもたらす多くの機会や利益、例えば、エネルギーの地産地消により多様で包括的なエネルギーガバナンスを実現する能力なども無視されていることを表しているという。総エネルギー消費量に占める再エネの割合が高い国は、より高いレベルの自立と安全保障を得ることができるとの見解を示した。

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