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村田製と三菱商事、「バーチャルPPA」で70MWの太陽光を新規開発

工場内での水素の製造・利用、蓄電池活用でも連携

2022/06/27 22:06
工藤宗介=技術ライター
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バーチャルPPAの概要
バーチャルPPAの概要
(出所:村田製作所と三菱商事の共同リリース)
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 村田製作所は6月24日、三菱商事からバーチャルPPA(電力購入契約)スキームにより、追加性のある再生可能エネルギー由来電力を調達すると発表した。

 バーチャルPPAとは、特定需要家向けに新設した再生可能エネルギー電源から生み出される電気と環境価値(再エネ電力の価値)を分離し、環境価値を特定需要家に提供する仕組み。新設した再エネのため、社会全体で再エネを増やす「追加性」を持つとともに、発電電力は、環境価値のない電気として電力系統に送電し、電力市場や他の需要家に供給されるため、需給バランス業務などが相対的に容易になる(関連記事:「バーチャルPPA」を解禁へ、経産省が検討スタート)。

 村田製作所と三菱商事は今回、2025年度までに7万kW(70MW)の再エネ由来電力の調達で合意した。具体的条件の最終協議中。村田製作所グループでは2050年度の再エネ導入比率100%を目指しており、今回の合意分は国内電力需要の約5%に相当する。

 今後も協議を継続し、将来的には約3億kWh規模まで拡大することを目標としている。これは、発電出力に換算して約20万kW(200MW)程度と推定され、村田製作所グループのグローバル電力需要の約10%程度になると見られる。

 環境価値の提供は、固定価格買取制度(FIT)に依存しない非FIT非化石証書を直接取引する形にする。発電設備は、太陽光発電所を想定して全て新設する計画。

 両社は、バーチャルPPAによる再エネ供給のほかにも、カーボンニュートラル社会の実現に向けて以下3分野での協業に合意した。協業テーマは、再エネによる水素製造・利用、自立分散型コミュニティの構築による地域社会との共生事業、蓄電池活用による調整力事業――になる。

 水素製造・利用の実証では、村田製作所の工場内で、太陽光発電由来電力で水を電気分解して水素を製造して、水素利用に向けて実証するとともに、将来的には、村田製作所の国内工場が所在する地域社会へ水素を供給し、地域の脱炭素化推進も目指す。

 地域社会との共生事業では、村田製作所の工場が所在する地域で、地域課題の解決および魅力ある自立分散型の街づくりに貢献する。

 蓄電池活用では、需給調整市場への参画実績を持つ三菱商事を通じた同市場への参加を見据え、村田製作所の工場に設置する蓄電池を活用し、調整力供出の実証を共同で実施する。

 バーチャルPPAは、欧米ではすでにオフサイトPPAモデルの手法の1つとして一般化しているが、ここにきて国内でも東電EPと三井住友銀行、中国電力と三菱重工業との間で事例が出てきた。今回に三菱商事と村田製作所のプロジェクトは、現時点の公表ベースで国内最大規模のバーチャルPPAになる(関連記事:東電EP、「バーチャルPPA」を模した料金プラン、三井住友銀に提供)(関連記事:三菱重工・三原製作所、全電力需要を「追加性」ある太陽光で賄う)。

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