太陽光発電所の開発・運営などを手掛けるafterFIT(東京都港区)は6月29日の夜、北関東にあるメガソーラー(大規模太陽光発電所)で、「全自動ドローン」を夜間に運用する様子を公開した。東京本社にあるパソコン画面でドローン(無人小型飛行体)を操作し、夜間の侵入者に警告を発する仕組み。
同社は、ドローンの運用で「レベル3(無人地帯での目視外飛行・補助者の配置なし)」を実現しており、「全自動ドローン」としてメガソーラーのO&M(運用・保守)サービスに応用することで省力化によるコスト削減に取り組んでいる。
さらに今年5月、全自動ドローンの夜間における補助者なしの目視外飛行の運用について、国土交通省から承認を取得したことで、日中だけでなく夜間も無人飛行が可能になった。これにより、太陽光発電設備の定期的な保守管理に加え、盗難被害に対する防犯・監視にもドローンが活用できるとしている。
この日のデモ飛行では、盗難現場で飛行して警告する様子を公開した。まず、メガソーラー敷地内に設置された侵入検知センサーから、東京本社に待機しているO&M担当者のスマートフォンに異常(アラート)が届いた。これを受けてドローン操縦者が東京本社のパソコンからドローンに離陸指示を出し、遠隔操作で操縦して侵入者を発見、上空でホバリングし、「おい、見てるぞ! 何している!」との音声を繰り返し流した。
同社の運用する全自動ドローンのシステムは、DJI製のマルチコプター型ドローンやサイトに設置する格納器(充電ポート)など、汎用品で構成しているため、低コストが特徴という。夜間運用の場合は、赤外線カメラを使い、温度の違いで発電設備や侵入者を確認できる。必要に応じて機首やカメラの角度を変更して画像を撮影しつつ、音声や光で警告する。
人目から離れた太陽光発電所では、近年、ケーブルの盗難被害が頻発している。盗難対策では、高いフェンスなど侵入されない設備が基本だが、多人数の窃盗団による大規模な犯行などではそれにも限界がある。全自動ドローンと防犯・監視システムと連携させることで、遠隔地から侵入者へ直接、警告を発することで大きな抑止効果を期待できるという。
今後、同社では、自社で管理する発電所で、夜間の侵入者検知・警告に関する有効性を確認し、自社管理以外の発電所へもサービス提供や導入に向け提案していくという。