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「太陽光パネル生産の中国集中はリスク、生産地の多様化を」、IEA報告書

2022/07/11 22:10
工藤宗介=技術ライター
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IEAは、太陽光設備の生産が中国に集中していることに警告
IEAは、太陽光設備の生産が中国に集中していることに警告
(出所IEA)
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 国際エネルギー機関(IEA)は、7月7日に発表した特別報告書のなかで、カーボンニュートラルへの確実な移行を実現するには、太陽光パネルの世界生産について、現在の中国への一極集中から拡大・多様化する必要があると警告している。

 世界の太陽光パネルの製造能力は、最近10年間で欧州・日本・米国から、投資と技術革新で主導権を握る中国へとますます移行している。太陽光パネルのすべての製造段階における中国のシェアは現在80%を超えており、ポリシリコンやウエハーなどの主要部材は今後数年間で95%以上に上昇すると予想される。

 中国は、太陽光発電の世界的なコスト低減に貢献しており、クリーンエネルギーへの移行にさまざまな利点をもたらしている。その一方で、サプライチェーンが地理的に集中している状況は、各国政府にとって潜在的なリスクになる。世界中で再生可能エネルギーへの移行が加速すれば、増大する需要を満たすためサプライチェーンに更なる負担がかかることになるが、これはまた他の国や地域が生産の多様化や耐障害性の向上を支援する機会も提供する。

 2050年までに排出量ゼロを達成するというIEAの目標を達成するには、2030年までに世界中の電力系統で太陽光発電の年間発電量を4倍以上に増強する必要がある。また、太陽光パネルの主要部材であるポリシリコン、インゴット、ウエハー、セル(発電素子)、モジュール(太陽光パネル)の世界的な生産能力は、2030年までに現在の2倍以上となり、既存の生産設備の近代化も必要になる。

 製品価格の高騰やサプライチェーンのボトルネックにより、2021年は太陽光パネルの価格が約20%上昇した。特に主要材料であるポリシリコン市場に顕著で、世界各地で太陽光パネルの納期遅れと価格上昇を引き起こした。IEAは、こうした課題に対して、各国の政策立案者は今後更に大きな注意と努力を払う必要があると指摘する。

 サプライチェーンの多様化は、リスクを低減するための重要な戦略のひとつになる。報告書では、太陽光発電サプライチェーン開発の機会と課題を、雇用創出、投資要件、製造コスト、排出量、リサイクルの観点から評価し、世界のサプライチェーンに適合した新たな太陽光発電製造施設は、2030年までに1200億米ドルの投資を呼び込む可能性があると分析している。

 また、太陽光パネル分野では、2030年までに製造業の雇用数を2倍の100万人増強する可能性があると予測する。モジュールとセルの製造分野に最も雇用が集中すると見込まれる。

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