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オリックスと関電、「系統用蓄電池」参入、48MW・113MWhの設備で

リチウムイオン蓄電池を採用、TMEICがシステム構築

2022/07/14 18:01
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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系統用蓄電池事業の仕組み
系統用蓄電池事業の仕組み
(出所:オリックス)
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系統用蓄電池設備のイメージ。TMEICがシステム構築する
系統用蓄電池設備のイメージ。TMEICがシステム構築する
(出所:オリックス、関西電力)
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紀の川変電所の俯瞰図と蓄電池設備の建設予定地
紀の川変電所の俯瞰図と蓄電池設備の建設予定地
(出所:関西電力)
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 オリックスと関西電力は7月14日、系統用蓄電池事業に参入すると発表した。両社の折半出資で「紀の川蓄電所合同会社」を設立し、定格出力48MW、定格容量113MWhの大型蓄電池を設置し、2024年の事業開始を目指す。

 設置場所は和歌山県紀の川市で、関西電力送配電(大阪市北区)の運営する紀の川変電所内の敷地を借りて建設する。蓄電池セル(充放電素子)はリチウムイオン電池を採用する。東芝三菱電機産業システム(TMEIC)が蓄電池システムを構築する。

 系統用蓄電池は、太陽光や風力発電所に併設して1つの連系点で接続するのではなく、電力系統に直接、蓄電池だけを接続するもので、電気事業法の改正により、「発電事業」として位置付けられた。

 系統用蓄電池の運用事業者は、需給調整市場や容量市場での入札や、日本卸電力取引所(JEPX)を通じた裁定取引(アービトラージ)を通じで収益を上げることを目指す。太陽光・風力発電など変動性再生可能エネルギーの比率が高まると、これら電力市場を通じた需給バランス維持の役割が高まり、系統用蓄電池の事業性が高まるとされる。

 欧米の電力市場では、太陽光・風力発電の比率が高まり、すでに系統用蓄電池の事業性が出てきている。日本でも、太陽光・風力の急増とともに、需給バランスを維持するための各種電力市場の整備・活用が進み、今後こうした段階になると見られている。

 今回の系統用蓄電池プロジェクトでは、主に関西電力が蓄電池の運用業務、オリックスが保守・メンテナンス、アセットマネジメント業務を担当しつつ、共同で系統用蓄電池事業の事業ノウハウを蓄積していく。一般社団法人・環境共創イニシアチブ「令和 3 年度補正 再生可能エネルギー導入加速化に向けた系統用蓄電池等導入支援事業」に採択された。

 電力系統に直接、接続した大型蓄電池としては、九州電力送配電(福岡市)の豊前変電所内に設置した出力50MW、容量300MWhの蓄電池システムが稼働済みで、また北海道豊富町では北海道北部風力送電(北海道稚内市)が出力240MW、容量720MWhの蓄電池システムを建設中だが、いずれも送配電会社や送電会社が設備を所有し、送電事業の一環として蓄電池を運用し、独立した収益事業に利用するものではない。

 そうした意味では、今回、公表されたオリックスと関電による蓄電池プロジェクトは、蓄電池の運用だけで事業性を確保する「系統用蓄電池事業」としては、これまでに国内で公表されたプロジェクトで最大規模になる(関連記事:「太陽光・風力の急増で、系統蓄電池によるサービス事業が拡大へ」、日本工営の秋吉副社長に聞く)(関連記事:「系統蓄電池に求められる高速制御、0.5秒の応答性を実現」、TMEICの澤田執行役員に聞く)。

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