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発電する「ロールスクリーン」、LIXILが実証

2022/07/20 22:12
工藤宗介=技術ライター
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「太陽光発電(PV)ロールスクリーンシステム」
「太陽光発電(PV)ロールスクリーンシステム」
(出所:LIXIL)
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室内での実証実験の様子
室内での実証実験の様子
(出所:LIXIL)
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 LIXILは、既築ビルの窓に後付け設置できる「太陽光発電(PV)ロールスクリーンシステム」を開発し、4月から同社オフィスビルにおいて実証実験を進めている。太陽光による発電と同時に屋内側への熱の流入を抑制でき、脱炭素への貢献とBCP(事業継続計画)に寄与するとしている。7月19日に発表した。

 これまで同社は、新築ビルの壁面に設置する「建材一体型太陽光発電設備(BIPV)」を提供してきた。しかし、既築ビルでは、施工性や電気的エラーに伴うメンテナンスの問題などがあり、BIPVの導入は困難だった。そこで、後付け設置が可能な「PVブラインド」の開発・実証評価した結果をもとに、さらに多様な価値を付加したPVロールスクリーンシステムを新たに考案した。

 ロールスクリーンの受光面にフレキシブルな太陽電池セル(発電素子)を配置した。従来のロールスクリーンと同様に巻き取って視界を確保できる。左右の窓枠にカバーフレームを追加して日差しを完全に遮る構造とした。屋内側から後付け可能で電気工事も不要なため、施工やメンテナンスによる制約が少なく、工期や保守期間を短縮できる。

 1枚あたりの出力は80.9W(1.8m2のロールスクリーン中、太陽電池セル面積1.26m2)。既存ビルの窓ガラスに多用される単板ガラス越しを想定した場合は54.5W(1.22m2のロールスクリーン中、太陽光セル面積0.84m2)、1m2換算では64.8W/m2だった。ガラスなしと比較した場合、90.7%の発電能力を維持している。

 発電することで近赤外線領域のエネルギーを光電変換し、夏季において課題となる日射熱取得率を従来のロールスクリーンと比べて19.1%向上した。また、冬季において課題となる断熱性も、従来の窓と比較して44.1%向上した。

 発電した電力は、カバーフレームに内蔵した蓄電池へ充電し、USB-A端子およびUSB-C端子から電力を取り出すことができる。発電や蓄電、ロールスクリーンの開閉状態は、Wi-Fiを通じてクラウドでデータ管理して制御し、パソコンなどの端末から確認できる。開閉操作もリモコンに加えて、パソコンなどの端末から行える。

 2020年度の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業「デザイン性を考慮した後付け可能な新築・既築向けBIPVシステム」として採択された。NEDO事業の枠組みにおける実証品開発フェーズを完了し、現在は実証実験フェーズに移行している。実証実験では、面積約178m2、総数99枚のPVロールスクリーン(合計8色)を既存窓部に後付け設置した。期間は2023年1月末までの予定。

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