ニュース

清水建設、地熱水蒸気と木質バイオマスから水素製造

2022/08/03 22:08
工藤宗介=技術ライター
印刷用ページ
実証プラント
実証プラント
(出所:清水建設)
クリックすると拡大した画像が開きます
水素製造システム概要図
水素製造システム概要図
(出所:清水建設)
クリックすると拡大した画像が開きます

 清水建設は7月28日、大分県九重町に低コスト・グリーン水素製造技術の実証プラントを建設し、8月から実証運転を開始すると発表した。同社、市川事務所(東京都新宿区)、エネサイクル(宮城県大崎市)、大日機械工業(横浜市)、ハイドロネクスト(大分市)の5社が共同開発した技術で、国内に豊富に存在する地熱と木材などのバイオマス資源を活用し、低コストかつ高純度な水素を製造できる。

 同技術は、木質チップの炭化炉、炭化物をガス化する改質反応器、水素精製装置から構成される。木質チップを蒸し焼きにした炭化物と地熱水蒸気を改質ガス化炉に投入し、炉内を800℃超の高温にすることで化学反応させて改質ガス(H2、CO、CO2、水蒸気を含む混合ガス)を生成する。この改質ガスを再び高温で化学反応させてH2の含有量を高めた後、PSAガス精製装置と金属膜水素分離装置を用いて高純度な水素を抽出・製造する。

 水素製造過程で生成する1070℃の高温ガスを熱源とすることで電力使用量を抑制、余剰となる高温排熱(ガス)を地熱発電用水蒸気の追い炊き熱源として売熱することで、水素製造コストを大幅に低減できる。高温ガスは、炭化炉で副生する燃料ガスやタールを空気燃焼させることで生成する。

 製造した水素の純度は99.999%で、燃料電池車の燃料などに利用できる。実証プラントの水素製造能力は50Nm3/hで、1時間でトヨタ自動車の燃料電池車「MIRAI」1台分に相当する水素を製造できる。実証実験では、製造時のCO2排出量を市販水素の10分の1以下、かつ製造コストを太陽光などの再生可能エネルギーを使用した水電解水素の3分の1以下を目標とする。

 環境省「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の対象で、同社が環境省から事業委託を受けて建設した。木質チップおよび地熱水蒸気は地元事業者から購入し、エネルギーの地産地消に貢献する。

 実証運転は、8月から12月にかけて、約25日間の連続運転を3回行う。実証プラントの性能を確認するとともに、品質面、安全面からプラントが安定的に稼働できることを検証する。生産効率から推定される水素の製造コストおよびCO2排出削減率などを算定してレポートにまとめ、2023年3月中に環境省に提出する。

 清水建設は、実証事業を通じて得られるノウハウを活用し、中小地熱発電所に併設する水素製造実用プラントの自社開発に取り組む予定。実用プラントの水素製造能力は250~1000Nm3/hを想定する。早ければ2025年の実用プラント建造を目指す。

  • 記事ランキング