営農を続けている農地の上の空間を活用する太陽光発電を営農型と呼ぶ。
農地の上に支柱を立てて、一般的な地上設置型よりも高い位置に、かつ、隙間を大きめに開けて太陽光パネルを設置する。パネルを高い位置に固定するのは、下の農地でトラクターなどの農機が走行したり人手による作業を阻害しないため。また、パネルの隙間を大きめに開けて固定するのは、隙間から太陽光が農作物に十分に当たるようにするためである。
このようにして、営農と発電で太陽光を分け合うことから、ソーラーシェアリングと呼ぶこともある。


元々、地目が農地である場所で、営農型太陽光を行う場合、制度上、農地のうち支柱を立てる場所のみ、農業以外の目的に使うために必要な「農地の一時転用」を届け出て、市町村の農業委員会に認可してもらうことが必要になる。支柱を立てる場所以外は農地のままなので、ほとんどの場所が農地のままの低い課税率で、太陽光発電事業を実現できる利点がある。
ただし、あくまで農作と収穫物の販売に適切に取り組んでいることが条件で、農家に営農以外の安定的な収入を加え、農家の経営体質を強くすることや、耕作放棄地をできるだけ少なくすることが制度の趣旨である。
営農の事業計画に対する結果は、毎年、農業委員会に報告する。当初、一時転用の期間は3年で、その都度、更新するという仕組みになっていた。
農林水産省は2018年5月にこれを見直し、一定の条件を満たした場合、10年以内(最長10年)の一時転用が認められることにになった。
「10年以内への変更」が認められるのは、以下の3つケースとなる。(1)農業の担い手が所有している農地、または利用権などを設定している農地で、その担い手が下部農地で営農を行う場合。(2)農用地区域内を含め荒廃農地を活用する場合。(3)農用地区域以外の第2種農地、第3種農地を活用する場合――。
これら3ケースのうち、いずれかを満たせば、一時転用許可の更新は最長で10年に1回で済む。更新にかかる作業が軽減し、事業リスクも低減する。