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分散型(ストリング型)パワーコンディショナー とは

ぶんさんがた(すとりんぐがた)ぱわーこんでぃしょなー

2020/05/27 20:37
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 メガソーラー(大規模太陽光発電所)は、普及の始まった当初、できるだけ大きな容量のパワーコンディショナー(PCS)を採用し、できるだけ台数を減らすことで投資効率の高い開発・運用を目指すことが主流だった。

 その後、登場したのが「分散型」と呼ばれる手法である。小さな規模の太陽光発電所で広く使われていた小さな容量のPCSをメガソーラーで採用する手法や、そこで採用される小型PCSの機種そのものを指す。

 接続箱がPCSに置き換わるような構成となる。太陽光パネルを直列で接続した回路(ストリング)を、接続箱を介さずに直接、小型PCSにつなぐ。

 利点は、いくつかある。PCSの単価が安く、コンクリート基礎が不要など、比較的導入コストが安くなる場合があること。土地の傾斜や影の影響など、太陽光の入射条件が異なる場所がある発電所では、PCSに入力する太陽光パネルやストリングの構成を細かく切り分けることで、発電量を最大化できる場合があること。万が一、PCSの稼働が止まってしまった場合、1台ごとに接続されているパネルやストリングの規模が小さいので、発電ロスが少なくて済む場合があること、などである。

 一方で、安全性や信頼性に課題がある。欧州や東アジアのメーカーが製造・販売しているほとんどの機種が、点検を想定した設計となっていないことによる。点検制度の違いによるところが大きい。

 例えば、スイッチを備えておらず、ストリングごとに発電電力の送電を遮断できない。入力端子はコネクタに繋がれ、太陽光パネルから発電電力が流れてくる電線を直接、そこに差し込む仕様になっていることによる。

 この状態で絶縁抵抗を測定するには、コネクタから電線を抜いて測定し、再び電線をコネクタに差し込んで復旧する。点検は日中に実施されるため、太陽光パネルが発電して電気の流れている状態でコネクタから電線を抜き差しすることになる。この作業に、安全上のリスクがある。抜き差しによってコネクタが損傷する例も増えている。

 この際に、海外メーカー各社の分散型PCSの設計上、隣のストリングとの間で、電圧が高い方から低い方に電流が流れる「循環電流」と呼ばれる電流が生じる場合がある。この循環電流によって点検作業者が感電する恐れがある。何らかの原因でアーク(火花)が生じて感電する恐れもある。

 こうした安全上のリスクを認識し、安全に点検できる環境を整える発電事業者やEPCサービス事業者も出てきている。

 代表的な手法は、太陽光パネル側の電線を直接、海外メーカー製の分散型PCSのコネクタに接続せずに、スイッチやブレーカーといった遮断器を備えた分電盤のような役割を担うボードを介して入力する。

 また、この問題を認識し、日本向けに対策を施した機種を販売し始めた海外のPCSメーカーも出てきている。

 信頼性ではまた、故障率が比較的高いことが課題となっている。分散型の機種は、ある範囲で故障が起きた場合、新品に交換することを前提とすることが多い。

 それぞれの個機としては1回ずつの故障だったとしても、台数が多いので、複数機で連続して故障が生じる可能性がある。交換の手間が多くなる恐れがある。

 点検の手間も、台数が多いことから多くなる。

分散型を代表する機種の1つ。コネクタに直接、電線を差し込む
(出所:日経BP)

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