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第三者所有モデル(TPOモデル)/PPAモデルとは

だいさんしゃしょゆうもでる/てぃーぴーおーもでる/ぴーぴーえーもでる

2020/06/13 23:11
金子憲治=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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「第三者所有モデル」による住宅太陽光サービスの一例
太陽光発電電力の不足分は系統から供給 (出所:京セラ関電エナジー)
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 「第三者所有モデル」もしくは「第三者保有モデル」とは、住宅太陽光発電の施工事業者が、投資家を募って資金を集めて住宅屋根に太陽光設備を設置し、その住宅居住者と電力購入契約(Power Purchase Agreement:PPA)を結んで発電電力を供給する仕組み。

 住宅居住者にとっては、初期投資ゼロで太陽光を導入して、その発電電力を利用できる。また、太陽光発電の施工事業者にとっては、手持ち資金なしで施工件数が増やせ、資金提供者は、相対的に収益性の高い住宅向け売電事業に投資できるメリットがある。

 太陽光施工者と利用者以外の「第三者」が設置資金を負担して設備を保有することと、太陽光施工業者と住宅居住者がPPAを結ぶことをセットにしたビジネスモデルが大きな特徴になる。そのため、「第三者所有(Third-Party Ownership:TPO)モデル」もしくは「PPAモデル」、または両方を合わせて「TPO PPA」モデルと呼ばれることもある。

 「第三者所有モデル」は、2010年代前半に米国でサービス事業として成長し、住宅太陽光の普及を牽引してきた。その典型が、ソーラーシティ(SolarCity)社で、「初期費用なし、電気料金の削減」を売りにシェアを伸ばした。太陽光発電からの電力を、従来の電力会社の電気料金単価より低い価格で提供することで、必ずしも環境問題に関心の高くない一般的な住宅居住者に対しも、太陽光発電の導入を促した。

 こうした米住宅太陽光市場での経緯から、一般的に「第三者所有モデル」は、住宅に対するサービスを指すことが多い。住宅向けの電力料金は、相対的に単価が高く「第三者所有モデル」に向いている。また住宅太陽光は、需要を超えても商用系統に逆潮できるため、かりに余剰分を固定価格買取制度(FIT)で売電できれば、収益性はさらに高まる。

 日本は世界的にも住宅向け電力料金が高く、「第三者所有モデル」の潜在市場は大きい。このため国内でも、2016年に日本エコシステム(東京都港区)、そして坊ちゃん電力(松山市)など中堅企業が住宅向けにサービスに乗り出した。その後、大手企業も続々と参入した。資金力のある大手企業が、このモデルを提供する場合、必ずしも「第三者」から資金を調達する必要がないため、「PPAモデル」と呼ばれることが多い。

 加えて、2019年ごろから、業務用建物向けの「第三者所有モデル」も登場した。住宅に比べて電力料金の単価が安い業務ビルに対しては、従来、需要家にコストメリットが出る形で「第三者所有モデル」の提供が難しかった。しかし、太陽光発電システムの導入コストが大幅に下がってきたことで、サービス化が可能になった。

 ただ、業務需要家向けの「第三者所有モデル」では、そのエリアの系統状況によっては余剰分を逆潮できないこともあり、その場合、太陽光パネルの設置容量が限られるなど、住宅向けにはない課題もある。

 今後の発展形としては、太陽光に蓄電池を併設した「第三者所有モデル」で需要家のコストメリットを実現できるか。そして、野立て型太陽光の電力を、近隣需要家に対して自営線で提供するモデル。さらには、野立て太陽光を遠隔の需要家に対して商用系統を使い託送料金を上乗せした形で売電するモデルへの取り組みが注目される。最後のモデルは、一般的に「コーポレートPPA」と呼ばれている(2020年6月執筆)(関連記事:コーポレートPPAとは)。

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