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エネルギー政策基本法/エネルギー基本計画とは

えねるぎーせいさくきほんほう/えねるぎーきほんけいかく

2020/06/29 00:32
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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 「エネルギー政策基本法」は、エネルギー政策の方向性を政治主導で進める意味合いから2002年に制定された。「安定供給の確保」、「環境への適合」、「市場原理の活用」という3つの基本理念を掲げる。同法に基づき、「エネルギー基本計画」を定め、約3年に1回、見直すことになっている。

 国内のエネルギー政策では、経済産業省が有識者会議に諮って定める「長期エネルギー需給見通し」が、エネルギーの方向性を需給面から規定している。こちらは1960年代から公表されており、やはり概ね3年に1回、見直している。

 「エネルギー政策基本法」の制定によって、法に基づく「エネルギー基本計画」は、「長期エネルギー需給見通し」の上位に位置付けられた。同計画によって、エネルギー政策の方向性を示し、それに基づいて、経産省が将来の「需給見通し」を数値化するという流れになっている。「需給見通し」のなかの電源構成は「エネルギーミックス」と呼ばれ、事実上、エネルギー政策の定量的な目標の意味合いが強くなっている。

 もともと「エネルギー政策基本法」は、自民党議員による議員立法で、エネルギー政策の中に原子力発電を明確に位置づけることが主要な目的の1つだった。このため、2003年に定めた「第1次エネルギー基本計画」では、「原子力の推進」を明確に示した。

 民主党政権下の2010年に公表された「第3次エネルギー基本計画」では、当時の鳩山政権が「温室効果ガス1990年度比25%削減」を国際公約したことを背景に、CO2削減手段として「原子力の新増設」を明記。これを受けた「長期エネルギー需給見通し」の2030年のエネルギーミックスでは、「原発5割、再生可能エネルギー2割」とし、温室効果ガスを出さない「ゼロエミッション電源70%」という数値になった。

 転機となったのは、東日本大震災に伴う原発事故を受け、2014年に定められた「第4次エネルギー基本計画」で、「原発依存度の低減」を明記し、原発縮小に転換した。これを受けたエネギーミックスでは、「原子力22~20%」「再エネ22~24%」を示し、原発比率を半分以下に減らして「ゼロエミッション電源44%」にした。日本がパリ協定で掲げた温室効果ガス削減目標(2013年度比26%削減)は、このゼロエミ電源44%を前提にしている。

 さらに2018年に定めた「第5次エネルギー基本計画」では、「再エネの主力電源化を目指す」とし、国内エネルギー政策で初めて、再エネを基幹電源とする目標を掲げた。ただ、エネルギーミックスでは、従来の「再エネ22~24%」のまま変えなかった。

 2020年度から議論の始まる「第6次エネルギー基本計画」では、原発再稼働が進まず「原子力22~20%」の達成が危ぶまれる中、「ゼロエミ44%」達成のため、エネギーミックスを変更して再エネの「ミックス目標」を引き上げるのかが大きな焦点になる。

 加えて、これまで数値化していない「2050年のエネルギーミックス」を試算するのか否かも議論になりそうだ。日本は、長期的な温室効果ガス削減目標として「2050年に温室効果ガス80%削減」を掲げている。だが、達成シナリオについては本格的に議論していない。次の「エネルギー基本計画」の中でその達成手段の方向性を示し、「需給見通し」で具体的な電源構成のイメージをある程度、定量化すべきと、いう意見も出始めている。

「第5次エネルギー基本計画」の構成
(出所:経産省)
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