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誰にでも太陽光の恩恵を! 米加州が貧困層向けに300MWを設置支援(page 2)

低所得者向け集合住宅を対象に大規模な再エネ普及策

2016/02/24 00:00
Junko Movellan=ジャーナリスト
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環境面と経済面の両方にメリット

 カリフォルニア州公益事業委員会(California Public Utilities Commission:CPUC)は2008年に「Multifamily Affordable Solar Housing (MASH)」と呼ばれる、低所得者向け賃貸集合住宅に太陽光発電システムの設置を促す補助金プログラムを開始した。当時MASHは約1億800万米ドルの予算を割り当てられた。全ての予算はすぐに申し込みで一杯になり、2013年に新しい法案が可決され、MASH用に新たに5400万米ドルの予算が割り当てられた。

 MASH開始から今までに26MW、365件のプロジェクトが完了した。これは、6700件の低所得者向け賃貸集合住宅に太陽光発電システムが設置されたことを意味する。米国NPO(非営利組織)法人Center for American Progressの分析によると、この数はカリフォルニア州内における年収4万米ドル以下の低所得層のたった4.2%に過ぎないそうだ。

 低所得世帯にとって、収入に占める電気料金支払い額の割合は、高所得世帯に比べると高い。太陽光発電システムの設置により月々の電気料金を削減できると、食費、医療費など、もっと重要な支出にお金を回すことができる。つまり、このプログラムは低所得世帯に環境的利点のみならず、多くの経済的利点ももたらすとされている。

排出量取引制度による収益が原資に

 MASHプログラムの原資は、日本の固定価格買取制度(FIT)のように全ての電力消費者から電気料金の一部として徴収される。しかし、新しいプログラムは、同州のキャップ&トレード方式の排出量取引制度からの収益が割り当てられる。つまり、「納税者など、誰にも余分な支払いが発生しません」と、Sarem氏は語った。

 排出量取引制度は、カリフォルニア州の掲げた「2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年レベルに削減する目標」を達成するため制度である。大規模な燃料燃焼施設や電力の一次供給者など、CO2排出量の多い企業が規制の対象となり、一定量のCO2を排出する「枠」が割り当てられる。

 この排出枠とは、一定の排出量を排出してもよいパーミッション(permission)であり、毎年、州全体の排出枠総量が定められる。州は目標に向かって徐々に排出枠総量を減らし、各企業への枠の割り当ても少なくする。企業は、排出量を枠内に収めるため、最も費用対効果がよく、効率的な手法を見つけ出すことを求められる。余った「排出枠」は取引可能であり、企業は排出量取引市場に売却できる。

 電力事業者にも排出枠が割り当てられるが、排出量が枠を下回り、売却して得た収益は、電力消費者のために利用することが義務付けられている。つまり、この収益が、低所得者向け賃貸集合住宅用太陽光発電システムを普及させるために使われるのである。

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