探訪

福山市、地域の再エネで国内最大級の地域新電力(page 5)

「次世代エネルギーパーク」のRDF・太陽光発電を地域で活用

2019/03/19 05:00
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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FIT前後で設計手法が変化

 展望台から両発電所を眺めて、ひと目でわかる違いは、太陽光パネルの向きが異なっていることだ。

 両サイトとも、太陽光パネルを横置きにし、縦4段(4枚)のアレイ(パネルの設置単位)構成は同じだが、中国電力サイトは、設置角20度で「真南向き」、ESSサイトは設置角10度で「南西向き」になっている。このため正面の公道から見ると、中国電力サイトはアレイが斜めに見えるのに対し、ESSサイトでは、道路と平行になっている(図9)(図10)。

図9●展望台から見たメガソーラー。手前が中国電力サイト、奥がESSサイト。パネルは手前が長州産業製、奥が三菱電機製、PCSは両サイトともTMEIC製
(出所:日経BP)
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図10●展望台に展示された両サイトの俯瞰図
(出所:日経BP)
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 中国電力サイトのアレイ設計は、パネル1枚の出力を最大化させることを前提にした場合、典型的な設計になる。これに対して、ESSサイトで、あえて「南西向き・20度」にした理由に関し、「敷地形状に合わせてパネルを最も多く敷き詰めるとともに、保守性をよくするため」(ESS)としている。

 これは、国の補助事業による電力会社直営の発電所とFITによる発電事業との違いともいえる。FITによる発電事業はファイナンスを組成した上での投資事業の側面が強いため、20年間のIRR(内部収益率)最大化を求められる。

 メガソーラー建設では、FIT開始後、パネル価格の低下が急速に進んだのと同時にパネルの設置ノウハウも蓄積され、施工コストの単価が下がっている。このため限られた敷地に最大のパネル枚数を設置し、連系出力を大きく上回るパネル出力を確保する「過積載」が一般的になってきた。設置角を10度程度まで低くして影の影響を減らし、アレイ間隔を詰める手法は当たり前になっている。ESSサイトのこうした流れに沿っている(図11)。

図11●「ESS 福山太陽光発電所」
(出所:日経BP)
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 両サイトの公表値から、敷地面積当たりの予想年間発電量を算出すると、中国電力サイトが年間約82kWh/m2なのに対し、ESSサイトは年間約90kWh/m2に向上している。もちろん面積効率の向上には、パネル1枚の出力増も貢献している。太陽電池技術の進歩と発電システム設計の最適化により、面積効率と投資効率が改善してきたことがうかがえる。

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