「ここは発電所中でも最大のパネル設置エリアで、工事関係者の間で、『パシフィコ・オーシャン』と呼んでいます」。「パシフィコ・オーシャン」には、全部で2万7780枚のパネルが並べられ、合計出力は、このエリアだけで8.334MWに達する。これだけの広大な斜面を造成しパネルを敷き詰められたのも、効果的な土木工事の成果だ(図7)。
パネルが海のように見えるのは、横5列・縦4段でパネルを設置した大面積アレイ(パネルの設置単位)を設置角15度、アレイ間の間隔を約1.5mで並べたからだ。設置角を小さくして影の長さを短くしたうえで、さらに冬季にはアレイの下段は影になることを前提に、アレイの間隔を詰め、設置枚数を増やした。
設置角とアレイ間隔の組み合わせにより、パネルにかかる影の影響、つまり逸失利益がシミュレーションできる。一方で、パネルの枚数を増やせることによる増収効果も計算できる。基本的にはアレイ間隔を狭めると影による逸失利益が増える分、パネル増加による増収効果は大きくなる。「最大の増収効果と最少の逸失利益となるポイントをシミュレーションで割り出すことで、今回の設置角、アレイ間隔、設置枚数を決定した」(パシフィコ・エナジーの成田修久 建設部門長)という。