探訪

「雑草を食べきれず、ヒツジを増やしました」、明石土山のメガソーラー(page 5)

ヒツジを放牧しない区域は、除草剤を積極的に使う

2019/06/11 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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打ちっ放しのゴルフ練習場のボールが直撃

 雑草が予想以上に伸びることのほかにも、事業計画時には想定していなかったトラブルが起きた。太陽光パネルのカバーガラスが頻繁に割れたのである。

 この原因は、はっきりしていた。第2期の隣にある、打ちっ放しのゴルフ練習場から場外に飛び出したボールが、太陽光パネルに落ちて、カバーガラスが割れていた。

 ゴルフボールが当たってできたような打痕がガラスに残っていること、そして、割れた太陽光パネルの近くにゴルフボールが落ちていることから、容易に原因を推察できた(図8)。

図8●対策前の2013年の取材時に敷地内に落ちていたゴルフボール
(出所:日経BP)
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 日本毛織はこの一帯の土地を所有しており、打ちっ放しのゴルフ練習場は、メガソーラーの用地となった旧ゴルフ場と同じように、グループ会社が運営している。

 そこで、このゴルフ練習場を運営しているグループ会社に、敷地外にゴルフボールが飛び出していくことを防ぐためのネットを追加して欲しいと依頼した。

 従来は、ゴルフ練習場の四方を囲むように、垂直にネットを敷設していた。しかし、四方の高さ方向に伸びた上の「天井」に当たる位置には、ネットがなかった。このために、上空方向に打った大飛球は、敷地外に飛び出し、メガソーラー内に落ちていた。

 メガソーラーからの依頼によって、ゴルフ練習場は、「天井」の位置にも、ネットを追加した(図9)。

図9●サイロの奥に見えるのがゴルフ練習場で、天井にネットを追加
(出所:日経BP)
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 この効果は、てきめんだった。太陽光パネルのカバーガラスの割れは、半年に1回程度に減っている。全体の約16万枚という枚数と、人通りの多い市街地という環境を考えると、少ないと言える。

 ただし、それ以降に太陽光パネルのカバーガラスが割れた原因は、わからないことがほとんどだという。

 太陽光パネルの割れを含む異常は、ほぼ電気主任技術者が発見している。第1期は特別高圧送電線に連系している発電所で、第2種の資格を持つ電気主任技術者が専任している。この電気主任技術者が頻繁に敷地内を歩き回り、異常をいち早く発見し、報告している。

 太陽光パネルのカバーガラスが割れた場合、日本毛織のメガソーラーでは、できるだけ早く交換している。安全上と事業上の両方リスクに考慮して、このような方針としている。

 割れた場合やその他の不具合に備えて、一定数の太陽光パネルの予備(ストック)を常備している。

 太陽光パネル1枚程度の交換では、保険の適用額に満たない場合が少なくないという。それでも、安全性と事業性のリスクを軽く考えずに、交換することを徹底している。

発電量は好調に推移

 発電量は、好調に推移している。雑草と太陽光パネルの割れ以外には、大きなトラブルも起きていない。

 発電量は、売電開始後の5年間、常に計画を上回っている。最大となったのは2018年だった。天候がよく日射量が例年以上に多かったためだ。逆に、最小だったのは2014年で、年間で最も発電量が伸びる4~5月に、天候不順だったことが響いたという。

 事業計画時の予想では、年間で発電量が最も多い月は5月、次に多いのが8月になっている。夏至のある6月は、本来であれば発電量が多くなりそうだが、梅雨の影響を受けるという。

 立地する土山地域は、三つの条件が重なって、太陽光発電に向くという。一つは、瀬戸内ならではの、雨が比較的少ないこと。二つ目は、秋に台風は通るものの、これまで周辺地域を含めて被災することがほとんどないこと。三つ目は、ほぼ積雪のないことである。

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