探訪

「統括事業所」で有資格者を柔軟に活用、金ケ崎の特高メガソーラー(page 2)

連系設備の基礎にヒーター、積雪と凍結防止で点検しやすく

2018/08/21 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ
印刷用ページ

「統括事業所」で二つの特高案件を運用

 特高送電線に連系するメガソーラーでは、専任の第2種電気主任技術者による保安が義務付けられている。

 特高送電線への連系の知識と実務を経験した「第2種」の電気主任技術者は、資格保有者が少ない。電力会社の在籍者や、企業の工場などで電気保安管理業務に携わってきた技術者などがほとんどとなっている。このため、特高案件の開発では、第2種の資格保有者の確保に苦労することが多い。

 今回、コムシスクリエイトが活用したのは、「統括事業所」と呼ばれる管理手法である。

 再エネの特高発電所の工事・維持・運用を直接統括する「統括事業所」を置き、そこで複数の発電所を管理することが認められている(図2)。「同一の発電事業者」が、2時間以内に駆けつけ可能な「近隣地域」に、複数の特高案件を開発・運営している場合に活用できる。

図2●取材時にも連系設備を点検していた
図2●取材時にも連系設備を点検していた
「統括事業所」を活用し、二つの特高メガソーラーを管理(出所:日経BP)
クリックすると拡大した画像が開きます

 「統括事業所」による管理は、風力発電を想定して定められ、現在では太陽光発電所、水力発電所にも適用が認められている。

 これによって、特高メガソーラーでも、第2種の技術者が1人で1カ所を専任するのではなく、例えば、「1人で2カ所」、「3人で5カ所」といった管理が可能になっている。

 もちろん、第2種電気主任技術者による監督、管理の実効性などを確立した上でなければ認められない。

 特高送電線という、電力系統に大規模な影響の及ぶ送電線に接続していながら、無人の状態が多いという風力や太陽光発電所の状況を考慮し、平常時に十分な巡視や点検、検査・補修を可能とする体制の構築、異常発生時に迅速に検知、通報、対応できる体制が求められている。

 一般的に、同じ企業グループが主体となって、近隣に複数の特高メガソーラーを開発・運営している場合でも、この手法の採用は難しい。

 障壁となるのが「同一の発電事業者」という条件である。特高案件ではプロジェクトファンナンスによる資金調達が多く、その場合、発電所ごとに特定目的会社(SPC)を設立し、事業主体となるためだ。

 コムシスクリエイトの場合、金ケ崎の出力約20MWの発電所も、建設中の宮城県内の案件も、自社が発電事業者となっており、「同一の発電事業者」という基準を満たしている。

 そこで、仙台市に東北管理室を開設し、ここを「統括事業所」として活用している。もちろん、両方のメガソーラーとも、2時間以内に駆けつけられる位置にある。

 東北管理室に駐在している第2種電気主任技術者は、東北電力の出身者である。電力会社では、1人の第2種の資格保有者が、多数の発電所の電気保安管理業務を担っていることが多い。そこで、東北の近隣で2カ所の特高メガソーラーが稼働予定であることから、電力会社時代と同様の管理手法として、「統括事業所」を提案し、実現した。

 「統括事業所」の活用に関する経済産業省との交渉などは、スムーズに進んだという。電力会社時代から、特高送電線関連の業務に熟知している利点が生きた可能性がある。

 「統括事業所」による管理の範囲には、工事も含まれている。そこで、稼働中の金ケ崎の発電所のほか、建設中の宮城県内の発電所にも連日、通っている。

 現在の東北管理室は、第2種電気主任技術者のほか、代務者と保安員の3人で関連業務を担っている。宮城県内の特高メガソーラーの稼働後には、5人に増員して日々の巡視や点検に臨む予定としている。

  • 記事ランキング