連系先が変わり1年遅れる
金ケ崎の出力約20MWのメガソーラーの建設では、予期しない事態が起きた。東北電力との連系協議において、連系する特高送電線が変わったことだ。これによって、着工と稼働が約1年間遅れた。
連系先の特高送電線が変わるといっても、ゴルフ場跡の近くの同じ鉄塔に敷設されていることに変わりはなく、送電線までの距離が大きく延びるといった影響はなかった。
具体的には、ゴルフ場跡から既存の鉄塔まで、最短距離で電線を新設して連系できる予定が、逆側に回り込むように電線を新設する経路に変わった(図3)。
費用面では、当初予定の連系関連費の約1億円から、鉄塔を2本追加し、電線が通る下の土地の購入費が増したことで、2倍近くに膨らんだ。ただ、全体の事業費が50億円を超える規模だったこともあり、事業性を大きく損ねることはなかったとしている。
通常のゴルフ場跡よりも多くパネルが並ぶ
ゴルフ場跡地を活用したメガソーラーというと、太陽光パネルはゴルフ場のフェアウェイやバンカーというプレイエリアだった場所に並べ、ホール間の場所などは従来の残置林を残している配置が多い。
金ケ崎のメガソーラーは、基本的にそうした設計を採用しつつも、一般的なゴルフ場跡のメガソーラーよりも、ホール間のより広い場所を活用して満遍なくパネルが並んでいる印象を受ける(図4)。
これは、元々のゴルフ場の開発経緯にも起因する(図5)。全体が丘の上に位置し、比較的、平坦な場所が多かった。このため、大規模な造成による地形の変更などは避けつつ、緑地も最大限に残しながら、通常のゴルフ場跡よりも多くの太陽光パネルを配置できた。
林地開発許可は、ゴルフ場時代からの用途変更の範囲とし、ホール間などの木を切るための伐採届を新たに提出した。保安林や外周付近の森林など、伐採しない木も多く残している。
北向きに下っていく斜面が一部あり、そこではアレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)の前後間隔を広くして影による発電ロスを最小化した。
間隔を広げすぎると、設置できる太陽光パネルの枚数が減るので、こうした場所では、冬にはある程度、影がかかってパネル1枚あたりの発電量が下がる時間帯があっても、より多くの太陽光パネルを並べることによって、事業性が高まる設計とした。