屋根上太陽光に多い「金具によるケーブルの挟み込み」

エネテク 第25回

2019/01/09 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回は、屋根上に設置された太陽光発電設備に特有のトラブルを紹介する。太陽光パネルとパネルをつなぐケーブルの地絡である。

 太陽光パネル間をつなぐケーブル関連の地絡については、前回、コネクタに穴が開いて、雨水が入り込むことで絶縁不良が生じた例を解説した。同社では、こうした絶縁不良は、全国の地上設置型の太陽光発電所で比較的、多く起きているのではないかと予想している。

 今回紹介する例は、屋根上の太陽光発電設備で起きる可能性が高く、かつ、原因を正確に突き止めることが難しいという。

 ある屋根上太陽光を検査中、地絡による不具合を発見した。設置状況を調べると、屋根材にパネルを固定する金具にケーブルを挟み込んでいた。その結果、ケーブルがつぶれて絶縁不良となり、最終的に地絡が起きていた(図1)。

図1●ケーブルの潰れている部分がはっきりわかる
(出所:エネテク)
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 太陽光パネルを屋根に固定する際、金具の上にケーブルが乗ってしまい、それに気づかないままその上にパネルを乗せ、ケーブルを挟み込んだ状態でボルトを締めたとみられる。

 ケーブルは、太陽光パネル裏面に取り付けられたジャンクションボックスを起点に伸びている。このため、パネルのフレームの下に位置する金具とケーブルの位置はどうしても近づきやすく、中には、金具の上に乗ったり、触れたりする場合も出てくる。

 屋根上太陽光の場合、地上設置型と異なり、太陽光パネルを固定した後、裏面からの目視による確認が難しい。屋根上に特有の設置環境が誘発するトラブルとも言える。

 これによってケーブルは潰れる。ただし、施工直後には、ケーブル内の銅線が完全に断線したり、ケーブルの樹脂の被覆の絶縁性能が大幅に損なわれたりせず、通常の範囲内で通電している場合もある。このために、使用前自主検査や稼働後の年月の浅い時期の定期点検では、トラブルが顕在化しない場合が多いとみられる。

 しかし、稼働してから年月が経ってくると、徐々に断線や絶縁性能の低下が進み、通電の異常として表面化してくる。

 エネテクによると、屋根上の太陽光発電設備の点検時に、ストリング(太陽光パネルを接続した単位)内の地絡を発見することは比較的、多いという。これは、接続箱の入力端子を通じた絶縁抵抗値の測定などによって把握できる(図2)。

図2●絶縁抵抗値は「ゼロ」を示した
(出所:エネテク)
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 ここで異常が発見されたストリングについては、地上設置型であれば、ストリングを構成している太陽光パネルのうち、どのパネル内、あるいは、どのパネル間のケーブルに異常が生じているのか、パネルやケーブルごとに調べ、不良箇所を特定していく。ケーブルについては、ほぼパネルの裏面側から点検していく。

 しかし、屋根上の発電設備では、屋根と太陽光パネルとの隙間がほとんどなく、裏面から点検することが難しい。理想的には、パネルを1枚ずつ取り外しながら確認することだが、手間とコストがかかり、それに見合う対価を得るのが難しい。

 今回、原因を究明できたのも、O&Mを一定以上のレベルで提供する企業として、「一種の意地によるところが大きかった」としている。

 実際には、原因が究明できていないだけで、今回の例と同様、太陽光パネルを屋根に設置する際、誤って金具にケーブルを挟み込んだままボルトを締め、断線や絶縁不良につながっている例も多いのではないかと、エネテクでは予想している。

 さらに、屋根上の太陽光発電所では、ストリング内でアーク(火花)が飛ぶ事故も各地で起きている。この原因となっていることも考えられるという。

【エネテクによるトラブル・シューティング】