太陽光パネルの絶縁不良か? 増えてきた「雨天時の原因不明の地絡」

エネテク 第26回

2019/01/24 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回、紹介するのは、太陽光発電所において、雨が降った時のみに生じる地絡の例である。

 雨の日にパワーコンディショナー(PCS)単位の遠隔監視システムが地絡を検出し、稼働を停止するものの、再起動後、雨天以外であれば、通常通りに発電が復旧する。その後、再び雨が降った日には、またPCSが停止する。

 この現象が、エネテクがO&Mを受託している、低圧配電線に連系している複数の発電所で生じている。

 雨天時にPCSが地絡を検出して稼働を停止すると、ある低圧の発電所では、導入しているNTTスマイルエナジー(大阪市中央区)の遠隔監視システム「エコめがね」を通じて、PCSの稼働停止が通報される。

 この低圧の発電所は、出力が約50kWで、出力10kWの5台のPCSで構成している。雨天時に稼働を止めるPCSは、毎回同じではなく、気まぐれのように違うPCSが稼働を停止する。大雨の際には、それだけでなく、分電盤の漏電遮断機まで落ちることもある。

 PCSの稼働停止の翌日、エネテクの点検担当者が現地に向かい、ブレーカーをオン(入)に切り替える。こうした稼働停止と復旧作業が、梅雨など雨天が多い時期には、3日に一度といった頻度で生じている。

 エネテクでは、原因を調査した。まず、直流側のケーブルの状態を確認すると、すべて正常だった。そこで、太陽光パネルを調査した。この低圧発電所では、結晶シリコン型の太陽光パネルを採用している。

 電気的な点検は通常、雨天時には実施しない。感電などのリスクが高まるためである。エネテクによる点検も、雨天時以外に実施した。そこでは、太陽光パネルの異常を発見できなかった。

 この地絡による稼働停止は、雨天時に生じている。そこで、エネテクでは、雨天時にのみ生じる太陽光パネルの異常があるのではないかと推測した。

 雨天時に点検して確かめるのは、感電などのリスクがあるため、安全を期して、雨天時以外に、この低圧発電所の太陽光パネルを噴霧器をつかって水で濡らし、その状態で1枚ずつ点検してみた(図1)。

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図1●噴霧器で水をかけて雨天時を模擬
(出所:エネテク)
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 すると、水に濡れた状態になると、絶縁抵抗値が極端に低くなる太陽光パネルがあることがわかった。通常ならば50~100MΩといった絶縁抵抗値を示すはずの結晶シリコン型パネルの中に、濡れた状態では1MΩ程度に数値が下がっているパネルがあった(動画)。

雨天時の太陽光パネルの絶縁抵抗不良の再現を狙ったテスト(出所:エネテク)

 エネテクでは、この絶縁抵抗値の極端な差が、雨天時にPCSが稼働を停止する原因になっているのではないかと推測した。

 この状況を、太陽光パネルメーカーに確認すると、「雨天時に、パネルの絶縁抵抗値が下がるのは当然の現象」だということ、「その際の絶縁抵抗値は、1MΩ以上あれば製品として問題ではなく、異常ではない」という回答だった。

 それでも、一方では50~100MΩ、もう一方では1MΩ程度と、極端な絶縁抵抗値の差が生じており、PCSが稼働を停止する原因になる可能性は捨てきれない。

 改めて太陽光パネルメーカーに、この濡れた状態での絶縁抵抗値の極端な差について質問したところ、「製造ラインや製造ロットの違いより、こうした大きな数値の差が生じることがある。工場出荷時の検査でも、こうした桁違いの数値になる場合がある。現地での測定時のパネル温度、湿度、日射強度によっても絶縁抵抗値にばらつきは生じる。今回の場合、濡らした状態でも1MΩ以上の数値となっており、製品の異常ではない」との主張が繰り返された。

 この低圧発電所におけるパネル1枚ごとの濡れた状態での絶縁抵抗値の測定は、噴霧器で濡らした状態の測定で、雨の程度としては、小雨などあまり雨量の多くない雨天に相当する。

 点検者の安全確保の面で、実施してはいないが、もし大雨の状況を再現して、その状態のパネルの絶縁抵抗値を測定した場合、おそらく1MΩ以下の数値に下がるパネルが出てくると推測している。

【エネテクによるトラブル・シューティング】