北東からの強風で、基礎ごとアレイが吹き飛ぶ

宮崎で、昨秋の台風24号による被災太陽光発電所を巡る・その1

2019/02/21 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 2018年夏から秋にかけて、国内各地で記録的な強風や豪雨を伴う台風の通過が相次いだ。住宅や社会インフラ、山林、河川などに大きな被害をもたらし、それらの地域に立地している太陽光発電所のなかには、大きく損壊するなど被害を受けたケースもあった(関連コラム1:その時、再エネ設備は? 極端気象に襲われた太陽光・風力、同コラム2:台風21号の猛烈な風、太陽光パネルに「これまでにない損傷」、経産省が公表)。9月30日に日向灘を強い勢力で通過し、宮崎県内を暴風雨にさらした台風24号によって、同県内で被災した太陽光発電所の例を紹介する。

 今回紹介するのは、宮崎市内にある低圧配電線に連系している太陽光発電所である(図1)。発電設備や電柱、連系設備の様子から、出力約50kWの三つの低圧発電所が隣接している構成とみられる。

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図1●被災した低圧連系の太陽光発電所
二つのアレイが前列の上に逆さまに乗り上げている(出所:上は日経BP、下は近隣地域の住民)

 これらの発電所では、台風24号が通過した後、二つの大きな被害がみられた。まず、発電所内の北東端のアレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)で、ほぼすべてのパネルが吹き飛ばされてなくなっている(図2)。

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図2●ほぼすべてのパネルが吹き飛んだ北東端のアレイ
(出所:近隣地域の住民)

 これは、南九州ならではの太陽光発電所の被災の一つという。

 南九州を強い風を伴う台風が通過する時には、時計の逆回りで強い風が巻くように吹く。

 太陽光発電所では、南西側から北東側に逆時計回りに巻くように強風が吹いても、アレイは低い位置に固定され、かつ、アレイ内で太陽光パネルは南が低く、北に上って行くように固定されているので、パネルの表面を斜めに吹き上がるように強風が流れ、パネルが吹き飛ぶような力が比較的働きにくい。

 問題となるのは、北東側から南西側に向かって時計の逆回りに巻くように吹く風だ。太陽光発電所の北端のアレイは、この強風を裏面からもろに受け止める。太陽光パネルを裏面から吹き上げるように、強風が吹く。とくに北東端のアレイは、この風を最も強く受ける可能性が高い。

 こうした強風によって、北東端のアレイから、ほぼすべての太陽光パネルが吹き飛んでしまったと見られるのが、この低圧発電所だった。

 もう一つの大きな被害は、北東端と北西端にそれぞれ近い位置の二つのアレイが、基礎ごと地面から持ち上がり、前列のアレイの上に、逆さまになって乗り上げていることである(図3)。これもやはり、北東側から南西側に向かって逆時計回りに巻くように吹く強風によって生じる典型的な被災の状況という。

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図3●基礎ごと地面から吹き飛んで、前列に逆さまに乗り上げている二つのアレイ
(出所:上の2段は日経BP、下の2段は近隣地域の住民)

 この低圧発電所は、以前にも同じように強風の際に、北東端のアレイが基礎ごと吹き飛び、北隣のアレイの上に逆さまに乗り上げたことがあった。これも同じような状況で生じたのではないかという。

 南九州では、こうした台風時に北東側から南西側に向かって時計の逆回りに巻くように吹く風への対策として、強風に備えて基礎や架台を適切に設計・施工することは当然として、耐荷重性などが不十分な場合でも、北端のアレイの裏面に壁を築いたり、防風板を追加することで、強風によってパネルが巻き上げられたり、基礎ごと地面から吹き飛ぶような損壊を一定程度、予防できる可能性がある。

 この発電所の基礎は、比較的小さなコンクリートで、架台と組み合わせた際のこの地域の強風への対応として、不十分な可能性があるという(図4)。

図4●強風に対して十分に配慮した基礎と架台の設計だったのか?
(出所:日経BP)
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