北東からの強風で、国道沿いの太陽光パネルが吹き飛ぶ

宮崎で、昨秋の台風24号による被災太陽光発電所を巡る・その3

2019/03/20 06:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 2018年夏から秋にかけて、国内各地で記録的な強風や豪雨を伴う台風の通過が相次いだ。住宅や社会インフラ、山林、河川などに大きな被害をもたらし、それらの地域に立地している太陽光発電所のなかには、大きく損壊するなど被害を受けた場所もあった。9月30日に日向灘を強い勢力で通過し、宮崎県内を暴風雨にさらした台風24号によって、同県内で被災した太陽光発電所の例を紹介する(その1:北東からの強風で、基礎ごとアレイが吹き飛ぶ、その2:強風に揺すられ、スクリュー杭が抜けアレイが吹き飛ぶ)。

 今回紹介するのも、宮崎市内にある低圧配電線に連系している事業用太陽光発電所である(図1)。敷地の東側にあるアレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)のうち、二つからほとんどの太陽光パネルが外れ、地面に放置されている。

図1●東側の二つのアレイから太陽光パネルが吹き飛んでいる
(出所:日経BP)
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 この事業用低圧太陽光発電所の場合、敷地内の東のアレイに被害が集中している。これに対して、宮崎被災連載・その1で紹介した発電所は、敷地内の北東や北端付近に被害が集中し、同連載・その2で紹介した発電所は、ほぼすべてのアレイが損壊していた。

 敷地内で損傷が集中した位置は異なるものの、3カ所とも、南九州に独特の強い風を伴う台風が通過する時に、時計の逆回りで巻くように吹く強風によって損壊したとみられることでは、共通しているという。

 宮崎被災連載・その1とその2で紹介したサイトと同じように、北東側から南西側に向かって時計の逆回りに巻くように吹く風を、アレイが裏面からもろに受け止め、太陽光パネルを裏面から吹き上げるような形になり、架台からパネルが吹き飛んだとみられる。

 太陽光パネルは、南側に向けて吹き飛んでいる。この発電所の南隣には、国道269号線が走っている(図2)。交通量は多く、国道の向かい側にはホテルが建っている。

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図2●南隣(画像の左)には国道が走っている
(出所:日経BP)

 もし、太陽光パネルが国道やホテルまで吹き飛んでいたら、走行中の自動車に衝突したり、通行人を損傷する、さらに、ホテルやその利用者などの損壊・損傷に至った可能性がある。

 実際の被災状況には、わからない部分もある。吹き飛んだ太陽光パネルの中には、地面に重ねて置かれているものもあるからだ。発電所の関係者が処置したものとみられる(図3)。中には、カバーガラスが割れている太陽光パネルもある。

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図3●架台から外れた太陽光パネル
(出所:日経BP)

 ただし、太陽光パネルが吹き飛んだ以外に、損壊はなかった模様である。

 スクリュー杭の基礎、アルミの架台、その他の設備は、太陽光パネルを吹き飛ばした強風によっても、地面から抜けたり、曲がったりといった損壊が見られない。

 太陽光パネルの架台の固定方法には、宮崎を強い台風が通過する際に吹く強風を、十分に考慮したようには見えない設計となっている。

 パネルを架台に固定しているのは、上部が2カ所、下部が2カ所の合計4カ所となっている。強風による被害の懸念が強い地域では、上部が3カ所、下部が3カ所の合計6カ所といった、固定する場所をさらに増やし、強風による荷重をより分散して受ける構造が一般的となっている。これに比べると、強風による荷重が集中しやすい構造と言える。

 今回の事業用低圧太陽光の北と東には、畑が広がっている。台風時の北東から巻き込んでくる強風を弱めるものは周囲にはない。

 こうした場合、敷地の北側に壁を設ける、北側のアレイの裏側に防風板を追加するなどの対策が、損壊するかしないかの分かれ目になることがあるという。

 発電所の北西には、高さが約20mの杉の木が並んで立っている(図4)。これは、防風林として使えるものなのだろうか。

図4●北西には杉の木が並んで立っている
(出所:日経BP)
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 北海道や東北では、こうした並び方をしている防風林を多く見かける。しかし、南九州の場合、こうした並びの木は、沿岸の一部を除いて、防風を目的としたものではないことがほとんどという。目的は、木材の切り出しや運搬の経済性にあるようだ。

 また、この事業用低圧太陽光は、国道側にしかフェンスが設けられていない。これ自体は、台風による損壊とは直接的に関係しないと思われるものの、適切に運営されていないことを印象付けるものになっている。