低圧太陽光・12段の大型アレイ、「凧揚げ」のように煽られ損壊

宮崎で、昨秋の台風24号による被災太陽光発電所を巡る・その4

2019/04/04 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 2018年夏から秋にかけて、国内各地で記録的な強風や豪雨を伴う台風の通過が相次いだ。住宅や社会インフラ、山林、河川などに大きな被害をもたらし、それらの地域に立地している太陽光発電所のなかには、大きく損壊するなど被害を受けたサイトもあった。9月30日に日向灘を強い勢力で通過し、宮崎県内を暴風雨にさらした台風24号によって、同県内で被災した太陽光発電所の例を紹介する(その1:基礎ごとアレイが吹き飛ぶ、その2:スクリュー杭が抜けアレイが吹き飛ぶ、その3:国道沿いの太陽光パネルが吹き飛ぶ)。

 今回紹介するのも、宮崎市内に立地する低圧配電線に連系している事業用太陽光発電所である(図1)。

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図1●復旧に向けた工事が進んでいた
(出所:日経BP)

 複数の事業用低圧太陽光が隣接しており、このうち4カ所が損壊したと見られる。

 被災後、しばらくした2018年11月中旬に訪れた時には二つのアレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)を基礎から打ち直している状況だった。また、他の一つのアレイはすべての太陽光パネルが架台から外れ、もう一つのアレイは、下段から上段まで1列の太陽光パネルが、架台から外れたままの状況になっていた。

 杭基礎を打ち直したり、架台から外れたり損壊したとみられる太陽光パネルが取り外され、敷地の内外で地面に積み重ねられている。この状況から、復旧に向けた工事が進んでいる途中とみられる。このため、台風24号の通過時の強風にともなう被災の状況は、痕跡から推測してみた。

 杭基礎を打ち直している二つのアレイは、敷地の西端と真ん中に位置している(図2)。アレイごと損壊したり、杭基礎ごと吹き飛んだ可能性もある。

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図2●基礎を打ち直していた西側(上)と中央(下)のアレイ
(出所:日経BP)

 西端のアレイについては、これまでの3回で紹介してきた例と同じように、南九州ならではの強い風を伴う台風が通過する時に、時計の逆回りで巻くように吹く強風によって損壊したとみられるという。

 北東側から南西側に向かって時計の逆回りに巻くように吹く風を、アレイが裏面からもろに受け止め、太陽光パネルを裏面から吹き上げるように強風が吹き、吹き飛んだとみられる。

 杭基礎を打ち直している西側のアレイのさらに西隣では、下っていくような地形となっている林の中で、太い杉の木が下に向けて倒れていた(図3)。

図3●太陽光発電所の隣で倒れていた杉の木
(出所:日経BP)
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 この木の倒れ方も、アレイの被災と同じように、北東側から南西側に向かって時計の逆回りに巻くように吹く台風の強風が、下っていく方向に向けて吹く場所で起きやすい被害だという。

 また、基礎や架台は残っているものの、太陽光パネルがすべて外れていたり、1列すべてのパネルが外れているアレイも、同じような状況でパネルが吹き飛んだと推測できる。

 この太陽光発電所のアレイは、横向き12段という、大きな構成となっている(図4)。こうした大面積のアレイは、設置コストの削減と、面積当たりの太陽光パネルの設置枚数を増やす目的で、事業用低圧の太陽光発電所でよく見られる。

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図4●12段の大きなアレイ
(出所:日経BP)
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 しかし、アレイの裏面で風を受ける面積が大きくなるデメリットがある。この状態で強風を受け続けると、凧が揚がる時と同じように、裏面からアレイを持ち上げるような方向に強い荷重が働く。

 似たような例としては、群馬県伊勢崎市で2015年夏に起きた事業用低圧太陽光における損壊がある(関連記事:伊勢崎市で300kWの太陽光発電設備が突風で倒壊、単管パイプ架台が崩壊、関連コラム:【伊勢崎市の太陽光発電システム崩壊】 架台崩壊の背景に不十分な強度設計の可能性)。

 こうした損壊のリスクに対して、十分に対応できる基礎や架台の設計となっていたのかどうか、疑問が残るという。