「分散型パワコン」に壊れやすさのリスク、センサー不具合で出力半減

エネテク 第3回

2018/04/05 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)を担う中で遭遇してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事企業で、太陽光の施工も多く担当してきた。O&Mでは、点検時に原因の分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 第3回は、パワーコンディショナー(PCS)の出力が急に半減したトラブルを紹介する。最近、採用が増えつつある分散型で発生した。

 分散型は、出力数十kWという、これまでは低圧の送電線に連系する太陽光発電所で使われてきたような小出力のPCSを、高圧や特別高圧の送電線に連系する太陽光発電所で使う手法を指す。一般的な出力の大きいPCSを使う集中型に比べて、細かくわけて配置することから「分散型」と呼ばれる。主に、中国や台湾、ドイツのPCSメーカーの製品が使われている。一部、国内メーカーの製品が使われていることもある。

 今回のトラブルは、アジアのメーカーのPCS約50台を設置し、高圧送電線に連系する太陽光発電所で起きた。

 遠隔監視システムによって、このうち1台の出力が急に半減したことを把握した(図1)。

図1●発電量が急に半減
正常なPCS(上)と、発電量が半減したPCS(下)を比較。エネテクによる報告書の一部(出所:エネテク)
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 この分散型PCSは、4本のストリング(太陽光パネルを直列・並列に接続した単位)を入力でき、2本ずつの系統にわけて異なるMPPT(最大電力点追従)制御を可能としている。

 現地に向かい、出力が半減したPCSのディスプレイを見ると、2系統あるMPPT制御回路のうち、1つの系統が、出力の低下を示していた(図2)。

図2●発電量が半減した分散型PCSの表示
正常に出力している系統(真ん中の「Input 1」)と、ほぼ出力していない系統(右の「Input 2」)。エネテクによる報告書の一部(出所:エネテク)
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 4本のストリングのうち、2本分の正常な系統の出力は「5530W」なのに対して、もう一方の2本分のストリングの系統は「51W」と表示され、ほとんど出力していない状態だった。

 電圧も、正常に出力している系統側の「721V」に対して、ほぼ出力していない状態の系統側は「5V」を示していた。

 こうした場合、まずPCSが故障していないかどうかを調べる。入出力の端子を通じて、電流と電圧を計測してみると、漏電や断線といった異常の兆候は見られない数値だった。

 次に、電線をクランプで挟む方式の計測をしてみると、ほとんど出力しなくなっていた系統側の2本のストリングは、電流を検出できなかった。これによって、この系統側のどこかに不具合が生じている疑いがわかった。

 さらに詳しく調べてみると、ほぼ出力しなくなった系統側では、入力端子に取り付けられている電流センサーに不具合が生じていることがわかった。この不具合によって、太陽光パネルの発電電力は、入力端子まで送られていながら、そこから先には出力されていない状態だった(図3)。

図3●入力部の電流センサーの不具合で出力せず
入力側の漏電や断線はなかった。エネテクによる報告書の一部(出所:エネテク)
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 ここまでの調査結果を、エネテクが販売代理店を通じてメーカーに報告し、最終的に、エネテクの報告を基に、メーカーはこのPCSを無償で交換した。

 実は、このPCSは、保証期間を過ぎていた。このメーカーは、保証期間を1年、5年、8年、10年にわけ、期間に応じた金額を課している。今回、「出力半減」が生じたPCSが設置されていた太陽光発電所では、保証期間は1年間だった。一方、不具合の起きた時期は、すでに1年を過ぎていた。

 1年以上たった保証期間外だったにもかかわらず、メーカーが無償による交換に応じたのは理由があるようだ。

 この不具合が起きる直前に、約半分となる24台のPCSが、落雷によって通信端末が損壊する被害に遭っていた。発電所の周囲に落雷し、送電線などを通じた「誘導雷」による被害だった。被災した24台は、損害保険を適用し、交換したばかりだった。しかも、交換したうちの1台は、初期不良品で再度の交換となっていた。

 こうした経緯があり、PCSメーカーは、例外的な保証期間外の無償交換に応じたのではないかと推測している。

 別の太陽光発電所でも、分散型PCSが故障した場合がある。例えば、装着されているリレーの基板に関する不具合により、出力していなかった場合がある(図4)。

図4●分散型PCSを束ねて制御するマスターボックスの表示
停止しているPCSはないと表示(左)されるも、個別のPCSの状態を表示すると1台が「待機中」(右)と表示され、発電量がゼロになっている。遠隔監視システムでは気づきにくい不具合という(出所:エネテク)
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 遠隔監視システムの画面では「運転待機状態」となり、出力していないことがわかった。待機状態なので、遠隔監視システム上は「故障」の扱いではなく、警報(アラーム)は発しなかった。

 現地に向かい、確認してみると、このPCSの発電量はゼロで、再起動を試みても出力しなかった。メーカーに技術者を派遣してもらった結果、「原因は特定できないが、リレー基板の不具合」との報告を受けた。

 エネテクによると、同じ分散型PCSといっても、今回のように不具合が頻繁に生じるメーカーと、そうでないメーカーとあり、信頼性に差があるという。不具合が生じた場合でも、保証による交換などの判断の前に、迅速に交換機を届けて売電ロスを最小限に抑える姿勢の有無など、不具合への対応にも差がついているとしている。