換気扇で間に合わず、パワコンの温度上昇で出力半減

エネテク 第4回

2018/04/19 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)を担う中で遭遇してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事企業で、太陽光の施工も多く担当してきた。O&Mでは、点検時に原因の分析だけでなく、その場で不具合の原因を解消するなどワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 第4回は、パワーコンディショナー(PCS)が高温の環境に設置されていたために、出力が半減していたトラブルを紹介する。

 工場の屋根上に設置した出力49.920kWの太陽光発電設備で発生していた。

 不具合に気がついたきっかけは、エネテクの点検・メンテナンスサービス「ソラパト」の年間点検契約を受託したことだった。この屋根上の太陽光発電設備は、稼働後、約3年間が経っていた。

 契約に基づいて、最初の点検に向かった。この時には、発電設備に不具合はなかった。ただし、遠隔監視システムを導入していなかったので、エネテクは導入を提案した。顧客は、その提案を受け入れ、遠隔監視システムを導入した(図1)。

図1●電流センサーや送信モジュールを追加する
稼働後の遠隔監視システムの導入(出所:エネテク)
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 エネテクとO&M(運用・保守)関連の契約を結んでいる顧客は、遠隔監視システムで送信されてくる発電状況のデータは、エネテクと顧客の双方が把握できる。この仕組みは、多くのO&M企業のサービスでも同じである。

 この顧客の場合、年間契約を結んでいるので、このほかに、緊急の対応が必要な状況が生じた場合、現地に駆けつけるといったサービスを含んでいる。

 太陽光発電設備の概要は、屋根上に出力240W/枚の結晶シリコン型太陽光パネルを208枚並べている。パワーコンディショナー(PCS)は、出力10kW機を4台導入していた。ストリング(太陽光パネルを直列で接続する単位)は13枚で構成している。

 遠隔監視システムを導入したことで、全体の発電状況とともに、PCSごとの発電状況を把握できるようになった。このシステムの導入で新たに設置したのは、PCS内に設置する電流センサーや送信モジュールなどである。

 遠隔監視システムが稼働し始めてから数日後、発電量の異常を示す警報(アラート)が発信された(図2)。夏の晴天日だった。

図2●高温による稼働の制限を表示
40℃を超えると稼働を制御する仕様の機種だった(出所:エネテク)
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 PCSごとの電流のデータは、1時間ごとに計測している。夏の晴天日のうち、10時~15時に警報が発された。

 具体的には、4台のPCSのうち、1台のみ正常に稼働し、残りの3台は、警報が発された時間帯には、本来なら期待できる発電量に対して、約半分に低下していた。

 正常に稼働していたPCSでは1時間の出力が8.4kWhだったのに対して、残りの3台は4.9kWhが2台、6.4kWhが1台という状況だった。1日の発電量も、正常に稼働していた1台が64.8kWhだったが、残りの3台は48.4kWh、53.2kWh、55.6kWhと少なかった。

 太陽光パネルやPCSの設置状況は、ほぼ同じである。PCSは、工場内の「電気室」に置かれていた(図3)。この電気室内は、熱がこもっている状況だった。

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図3●工場の電気室内にPCSを配置
扇風機は電気室内の温度が40℃を超えたときに自動で稼働する設定だった(出所:エネテク)
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 もちろん、過熱を想定して、換気扇を備えていた。換気扇は、電気室内が一定の温度に達すると、自動で回る仕組みとなっていた。

 この設定温度は40℃だった。警報を受けて、エネテクの担当者が現地に駆けつけた時には、換気扇は止まっていた。電気室内の温度は40℃以下だったことになる。

 PCSを見てみると、正常に稼働している1台を除く3台には、エラーが表示されていた。いずれも、高温によって安全機能が働き、稼働を制限していることを示していた。

 PCSは、日射が強く、発電電力が増えるほど、直交変換などを担うパワー半導体の稼動によって、内部の温度が高くなる。一定以上に過熱すると、PCSは稼動を続けられず、壊れてしまうために、安全機能を働かせ、稼働を制限したり、停止したりする。

 太陽光パネルは発電しているので、PCSの段階で発電電力を損失していることになる。

 このPCSは、内部の温度が40℃以上に達すると、出力を2分の1(5kW)に制限することで、稼働を続けながらも壊れることを防ぐ安全機能を持つ機種だった。

 さらにPCS内が高温になり、50℃を超えると稼働を停止。温度の上昇がおさまり、46. 5℃以下まで下がると、自動復旧して出力5kWに制限しつつ稼働を再開する。

 夏の発電量の多い時間帯には、発電量は多くなり、パワー半導体の発熱度合いは高まる。電気室内の温度が40℃以下だったとしても、PCS内は40℃を超える可能性が高くなる。

 こうした原因で発電量が低下したと考えられた。そこで、エネテクでは、電気室内の換気扇を稼働させる温度設定を変えることで、PCSの温度上昇を抑えることを提案した。

 最終的に、この換気扇の稼働温度は従来の40℃から、約25℃に変更した。その後、発電の低下を示す警報は発されなくなった。同様の天気でも1日の発電量は、例えば、従来の222.2kWhから275.9kWhに約2割(53.7kWh)も増えた(図4)。

図4●改善後には発電量が正常に
夏には1日に約20%増えた(出所:エネテク)
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 こうした過熱によるPCSの稼働制御や停止は、低圧の太陽光発電設備ではよく見られるトラブルという。

 同じような設置環境に伴う過熱では、西日が直接、当たる場所に小型PCSや接続箱を置いた場合にも起きることがある(甲府市の倉庫の屋根を活用したメガソーラーの例)。

 こうした過熱によるPCSなどの異常は、遠隔監視システムの導入によって発見しやすく、発電ロスを避ける面でも、安全を確保する面でも、導入することが望ましいとしている。

【エネテクによるトラブル・シューティング】