「太陽光パネルが土に埋まる」、「コネクターの多くが外れる」、設計ミスでトラブル続出

エネテク 第5回

2018/04/26 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)を担う中で遭遇してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光の施工も多く担当してきた。O&Mでは、点検時に原因の分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 第5回は、いくつかのトラブルが同時に起きていた太陽光発電所の例を紹介する。関西にある太陽光発電所で遭遇した。

 この太陽光発電所の点検を請け負うことになり、現地に向かった。そこでまず驚かされたのは、太陽光パネルが、土に埋まっている場所があることだった(図1)。

図1●土に埋まった太陽光パネル
斜面ギリギリに配置し、設置後に何らかの理由で埋まったとみられる(出所:エネテク)
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 太陽光パネルは、斜面に単管パイプを使って設置されていた。設置後に、なんらかの理由で斜面が沈む、あるいは、単管パイプによる固定状況が変わるといった状況が生じ、太陽光パネルが地面の方向に引っ張られ、土に埋もれるような状況になったようだ。

 そもそも、当初から斜面の地表ギリギリに接して、太陽光パネルを並べるような配置だったとみられ、その点で、設計面で無理があったのではないかと予想できる。

 また、単管パイプを組んで基礎や架台として使う場合には、構成や組み方によって、十分に安全を確保できる工夫を講じる必要がある(図2)。

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図2●アレイの端のパネルが土に埋まったり、石に乗り上げている
設計面で無理があったことが原因か(出所:エネテク)

 土に埋もれていた太陽光パネルの付近には、なんらかの原因で穴が空いているパネルもあった。

 線状に、なんらかの機械的な力が加わった跡がうかがえ、5枚のセル(発電素子)をまたぐように、細い穴が空いていた。その部分は、カバーガラスも突き破られている(図3)。

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図3●穴が開いているパネル
ガラス基板を突き破っている(出所:エネテク)
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 いずれも、通常では考えられない光景で驚かされたという。最悪の場合、火災などにつながりかねない不具合で、安全を十分に配慮した設計が求められる例といえる。

コネクターが外され、直列9枚~15枚のバラバラな構成

 もう一つ、大きな不具合があった。太陽光パネル同士を結ぶコネクターの接続が、外れていた箇所が多く見られた(図4)。実は、「外れていた」というのは正確ではなく、明確な意図を持って、「外されていた」という状態だった。

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図4●コネクターが外されていたパネルも少なくない
直流回路の設計ミスへの対応とみられる(出所:エネテク)
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 この理由として、接続箱の入力電圧の仕様を考慮せずに、ストリング(太陽光パネルを接続する単位)を構成したことから、発電時には接続箱の対応電圧を超えた電圧で入力してしまい、この状況を解消するために、一部の太陽光パネルのコネクターを外し、接続を解除したのではないかと思われた。

 エネテクによると、同じような原因で、コネクターを外している例は、他の太陽光発電所でも見かけたことがあるという。

 パワーコンディショナー(PCS)の対応入力電圧を超えた電圧のストリングを構成した発電所において、過電圧とならない範囲までストリングの入力電圧を下げる目的で、200枚以上の太陽光パネルのコネクターが外されていた例もあった。コネクターが外されている太陽光パネルの発電電力は、当然ロスとなる。

 もし、そのままのストリングの構成で入力していたら、PCSが安全機能を働かせて、稼働を停止する。こうした稼働停止を避ける措置と思われ、設計時に十分に検証していれば、本来は避けられる対処である。

 今回のトラブル事例である、太陽光パネルが土に埋もれていた発電所の場合、コネクターが外されていた太陽光パネルを除き、実際に接続されていたパネルによるストリングの構成を見てみると、直列で接続されていたパネルの枚数は、9枚から15枚までとバラつきのある状態だった。

 これは、あまり見ないケースで、ストリング構成が異なる意図はわからないという。

 直列するパネルの枚数が異なると、ストリングごとの発電状況が変わる。

 ただし、小型のPCSを使い、PCSごとに異なるストリング構成で揃えるのであれば、パネル枚数に応じて最適にMPPT(最大電力点追従)制御するため、問題はない。

 また、PCSの機種によっては、複数の入力系統ごとに、最適にMPPT制御する機能を持つものものあり、その場合、ストリング構成が異なっても発電損失は起きない。

 しかし、この発電所では、集中型のPCSを採用していた。どのストリングも、最終的に1台のPCSに入力される。また、このPCSは、異なるMPPT制御に対応できる機種でもなかった。

 こうしたPCSを使って、直列枚数が大きく異なるストリングから、発電電力が入力されると、発電量の少ないストリングに合わせてMPPT制御される。

 直列枚数が9枚から15枚まで異なるストリングでは、発電量が大きく変わる。発電量の低いストリングに合わせてMPPT制御し、発電するので、15枚を接続した、本来はより多く発電できるストリングでも低い出力に抑えられる。

 この発電所では、このほかにも、さまざまな不具合が見つかったという(図5)。いずれも通常は見られないもので、適切に設計することの重要性を改めて認識させられる例といえる。

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図5●ほかにも多くの不具合が見られた
コンクリート上に乗りあげたり、金属製治具に触れて電線が損傷しやすくなっている(出所:エネテク)
【エネテクによるトラブル・シューティング】