雪の重みで太陽光の架台が倒壊、設計ミスが原因か

エネテク 第6回

2018/05/02 06:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で遭遇してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 第6回では、積雪によるトラブルを紹介する。2カ所の発電所の例で、いずれも北関東に立地している。それぞれ降雪量の多い地域に立地し、「積雪の重みで架台が曲がる」「太陽光パネルが割れる」などのトラブルが起きた。

 これらの太陽光発電所のある地域は、冬にはかなり雪が積もる。敷地内には、積雪の深さを計測できる目盛り付きの柱も立てられている。

 例えば、一つ目の太陽光発電所は、積雪期には、太陽光パネルに、はんぺんのように分厚く雪が積もる(図1)。発電所の出力は1MW弱となっている。

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図1●はんぺんのように分厚く雪が積もる
北関東にある太陽光発電所(出所:エネテク)

 一般的に、こうした積雪地域の場合、一定の積雪があった時でも、太陽光パネルに積もった雪の重みによって、架台や基礎が曲がったり、倒壊したりしないように設計する。

 ところが、これらの発電所では、太陽光パネルに積もった雪による荷重を分散させ、十分に補強する構造になっていなかった。逆に、積雪による荷重を受けるには不向きな角度で、荷重によって地面方向に曲がりやすいように、補強する柱が組まれていた。

 例えば、太陽光パネルに、はんぺんのように分厚く雪が積もる発電所では、エネテクがこの発電所から依頼を受け、現地に向かってみると、太陽光パネルの積雪荷重を架台が吸収しきれず、曲がっていた(図2)。

図2●倒壊はしなかったものの、架台が曲がった
北関東にある太陽光発電所(出所:エネテク)
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 アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)の前方に向けて、パネルごと架台が曲がり、地面に向けて沈み込んでいるような状態の場所もあった。割れている太陽光パネルもあった。

 架台の設計ミスが原因と疑われるという。

 積雪地域では、毎年一定量の降雪が予想され、それを想定して架台を設計するのが一般的である。

 もし、例年のレベルを大きく上回る記録的な降雪があった場合には、想定以上の積雪荷重が加わり、架台が曲がったり倒壊することがある。その場合、例年の積雪には、対応できる設計のため、倒壊箇所を直せば、翌年から通常の積雪に対応できる場合もある。

 しかし、架台の設計自体に問題があり、通常の積雪量でも荷重を吸収できず、架台が曲がってしまうような場合には、倒壊箇所を直すだけの対応では、毎冬、積雪のたびに同じトラブルを繰り返す恐れがある。今回の発電所は、まさにそうした例となる可能性がある。

 そこで、エネテクでは、この発電所に対して、架台などを抜本的に是正することを提案した。

 また、当面の対処策として、エネテクが太陽光パネル上を含めて除雪することで、積雪後、比較的短い時間で、パネルの積雪荷重を減らし、架台が倒壊するトラブルを防ぐことになった(図3)。

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図3●当面の対応策として、太陽光パネル上も除雪
北関東にある太陽光発電所(出所:エネテク)
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 根本的な解決策として、その後、この発電所では、発電事業者とEPC(設計・調達・施工)サービス会社が協議した結果、EPCサービス会社の負担で発電所を作り直し、設計の不備を解消した。現在では、一定の積雪時にも、これまでのような積雪荷重によって架台が曲がるといったトラブルは起きなくなった。

 発電所の再設計や施工にともなうEPCサービス会社の負担額は、1億円以上に及んだという。

スペーサーの追加など設計ミスの痕跡

 もう一つの発電所も、毎年のように一定の降雪がある場所に立地し、同じように設計ミスと思われる要因によって、積雪の後、架台が曲がったり、地面に近づくように沈み込むなどのトラブルが生じていた(図4)。

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図4●架台が曲がったり、地面に近づくように沈み込む
北関東にある別の太陽光発電所(出所:エネテク)

 この発電所の場合、架台の状況を調べてみると、多くの箇所で高さの不足を補うための部材(スペーサー)が追加されていた。これも、設計ミスを疑う要因の一つだった。

 施工時に、設計図面の通りに現地で施工したところ、架台の高さが足りず、太陽光パネルを固定できなかったため、追加的に部材を補ったと推測できた。スペーサーを追加することで必要な高さを確保し、なんとかパネルを固定したように見えるという。

 スペーサーを追加した場所は、当然ながら、当初の設計とは、荷重に対する強度や耐久性が異なってくる。強度や耐久性を低下させている要因の一つに見えるとしている。

 エネテクでは、一つ目の発電所と同じように、この発電所に対しても、架台などを抜本的に是正することを提案した。

 しかし、その後、顧客から回答を得られないまま、約1年が経過しており、同じ状態に復旧させて稼働を続けている可能性もあるという。

【エネテクによるトラブル・シューティング】