接続箱の端子の焦げ、入力口の未封止、最悪の場合は火災に

エネテク 第8回

2018/05/17 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回は、接続箱に関する施工が不適切だったために起きたトラブルを取り上げる。端子の錆びや部分的な焼損のほか、接続箱から周辺の電線まで広範囲に焼けた事例まである。

 まず、接続箱の端子が焼損していた例を紹介する(図1)。

図1●P極端子やその周辺が焦げていた例
N極端子の左に見える細長い線がボンド線(出所:エネテク)
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 エネテクに点検の依頼があり、その太陽光発電所に向かい、発電設備を調べると、接続箱の端子が焦げていた。隣接しているP極とN極の端子のうち、とくにP極側の端子や周辺の焦げが酷い状況だった。

 こうした焼損は、太陽光発電所で比較的、多く目にするという。何らかの原因で、PN両極の端子に同時に接触しているものがあると、そこで短絡(ショート)して火花(アーク)が発生することで焦げる。

 今回の太陽光発電所の場合、接続箱内に、アークによって損傷したとみられるボンド線(アース線)が、焦げた端子の近くに残っていた。

 このことから、このボンド線がPN両極の端子に接触していたために、短絡してアークが発生し、端子が焼損したと推察された。

 発見時の状況から、このボンド線は、実際にアース線として使ったものではなく、施工時に余り、接続箱内から取り除くはずのものが、誤って残っていたようだ。

 エネテクによる調査でこの状況を発見した時にも、発電を続けており、危険な状態だったという。接続箱に入力されるのは直流の電気で、交流の場合とは異なり、一度アークが発生すると、なかなか火花が消えない。

 最悪の場合、火花が接続箱全体に燃え移って、火災にまで至る恐れさえある。単純な施工ミスだが、大きな事故につながりかねず、十分に留意してほしいとしている。

配管で保護せず、封止もしない

 また、接続箱のPN端子が錆びていることも多いという(図2)。見かけ上、焦げほど深刻に受け止めない人が多いが、重大な事故につながる状態に変わりないという。

図2●PN極の端子が錆びていた例
地面から低い位置に設置されていただけでなく、配線の入力口が塞がれていないために、隙間から入った水分の影響とみられる(出所:エネテク)
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 エネテクが点検の依頼を受けて現地に向かい、こうした端子のサビを発見したケースの中には、図2の太陽光発電所のように、接続箱が通常よりも地面に近く、地上から低い高さに設置されていたこともある。

 しかも、この発電所では、太陽光パネルを直列に接続して接続箱に入力している電線の配線に際し、樹脂製などの保護管を使ってなかった。

 通常は、樹脂製などの保護用パイプに電線を通した上、接続箱の配線の入力口には、穴と保護管の間にできる隙間を、パテ(接合材)を使って埋める。これによって、保護管を適切に接続箱に固定するとともに、虫や小動物などの侵入を防き、雨水も入り込みにくくなる。

 しかし、この太陽光発電所では、配線に保護管が使われていなかっただけでなく、接続箱の配線の入力口と電線の隙間がそのままで、パテで埋められていなかった。

 設置高さが低いこと、隙間が多いことのいずれも、水分が接続箱内に入り込みやすくなる。これによって、端子が錆びてしまったとみられる。

 こうした不適切な配線は、今回取り上げた接続箱内の錆び程度では済まない、重大なトラブルを引き起こす場合もある。

 接続箱ごと炭のように真っ黒に焦げただけでなく、保護管と電線まで真っ黒に焦げた例を、次回、紹介する(図3)。

図3●炭のように真っ黒に焦げた接続箱
配線の入力口の隙間を塞がず、電線を適切に固定していなかったことが要因の一つと推測(出所:エネテク)
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【エネテクによるトラブル・シューティング】