接続箱や電線が炭のように丸焦げ、配管の未固定と地盤沈下で火災に

エネテク 第9回

2018/05/24 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 前回は、接続箱の配線が不適切だったために起きた「端子の錆び」などを取り上げた。この施工不良は、錆びという比較的、軽く見られがちな症状だけでなく、重大なトラブルを招くことがある。

 原因となる不適切な配線とは、接続箱に入出力する配線に保護管を使っていない場合や、あるいは、保護管を使っていても、保護管を配線穴に固定せずにゆるゆると差し込んでいるだけだったり、配線穴と電線の隙間をパテで埋めていないといった状態である。いずれも、接続箱の施工不良の代表例の一つとなっている。

 通常は、樹脂製などの保護用パイプに電線を通した上、固定具を使って保護管を接続箱の配線穴に適切に固定する。さらに、配線穴と電線の間にできる隙間を、パテを使って埋める。これによって、保護管を適切に接続箱に固定するとともに、虫や小動物などの侵入を防き、雨水も入り込みにくくしている。

 この施工を省いていることから、接続箱内には雨水や湿気などが入りやすくなる。小動物も侵入しやすい。前回紹介した端子の錆びは、こうして雨水や湿気が入りやすくなっていたことで生じた。

 それだけでは済まず、接続箱ごと激しく焦げただけでなく、保護管と電線までも、炭のように真っ黒に焦げた例を紹介する(図1)。

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図1●炭のように真っ黒に焦げた接続箱
激しく燃えたことがうかがえる(出所:エネテク)

 この太陽光発電所は、稼働してから約半年間しか経っていなかった。エネテクに現地調査の依頼があり、向かってみると画像のような衝撃的な状況だった。

 接続箱は、まるでニュース番組で報じられる火災事故のように、激しく焦げていた。接続箱に入力している電線や、電線を覆っていた保護管も同じように、炭のように真っ黒に焦げていた。

 この状況から推察すると、アーク(火花)が生じた、などという程度ではなく、一時は炎を上げて燃えた可能性が高いという。

 接続箱が発火し、そこから電線や配管に燃え移り、地面に触れている部分で延焼が止まったと見られる場合や、それでも止まらず、太陽光パネルの裏面まで焦げが続いている場合もあった(図2)。パネルの裏面まで焦げている場所では、ジャンクションボックスの部分で延焼が止まったと見られる。

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図2●電線を伝わって架台やパネルまで焦げた場所も
直流で生じた火花や火災は、なかなか消えない(出所:エネテク)
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 直流の設備の怖さを示す例の一つとしている。接続箱に入力されるのは直流の電気である。交流の場合とは異なり、一度アークが発生すると、なかなか火花が消えない。今回の場合のように、火花が接続箱全体に燃え移って、火災にまで至る恐れさえある。

 現地に向かったのは日中のため、接続箱が丸焦げになっていても、太陽光パネルは発電を続け、送電が続いている。こうした接続箱を開けること自体、怖かったと振り返る。

 不幸中の幸いは、稼働してから約半年だったことという。まだ雑草がほとんど生えていなかった。

 もし雑草が生い茂っていたり、冬に枯れた雑草が多く残っていた場合、生えている雑草や枯れ草に燃え移って、より大規模な火災に至っていた恐れがある。

 山林の間に立地していることから、大規模な山火事を招いていた可能性もあったという。

 エネテクでは、原因として二つの要因が複合的に連関した可能性を挙げている。

 一つは、これまで紹介した接続箱の配線の施工不良である。焦げていなかった接続箱の状態から(図3)、電線を通した樹脂製の保護管は、接続箱の配管穴を通してあるだけで、固定具で適切に固定されていないことがわかった。

図3●焦げていなかった接続箱
保護管を適切に固定していない(出所:エネテク)
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 もう一つは、地盤沈下である。地面が沈下したり、崩れている場所が多く見られた。こうした場所では、アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)ごと大きく沈んだりしていた(図4)。

図4●地盤沈下や地面の崩れ
これも各地で生じているトラブルの一つ(出所:エネテク)
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 渓谷のように、ぐっさりと浸食されている場所もある。これも適地ではない場所への設置や、あるいは、施工の不良といえる。

 エネテクの推察では、こうした地盤沈下が生じたときに、接続箱の配管穴にしっかり固定していない保護管は、そのまま下に引っ張られやすい。これによって、保護管内を通っている電線にも、引っ張られる力がより大きくかかり、抜け落ちてしまった結果、接続先であるPN極の端子が短絡し、火花が生じたのではないかと見ている。

【エネテクによるトラブル・シューティング】