ストリングの正極と負極を逆に入力、発電はすべてロスに

エネテク 第11回

2018/06/07 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 接続箱の施工では、初歩的なミスも多く見かけるという。例えば、太陽光パネルによる発電電力を送電する直流回路(ストリング)の配線で、プラス(P:正極)とマイナス(N:負極)の極性を間違えて接続してしまう、という単純なミスである。

 は、接続箱の開閉器(スイッチ)への入力で、正負(PN)の極が逆に入力されている。正極が向かって右、負極が向かって左の仕様となっているのに対して、赤(正極)の被覆の電線が向かって左に、青(負極)の被覆の電線が向かって右に入力されている。

図●正負極を逆に入力していた例
手前の赤(正極)の被覆、青(負極)の被覆の電線の入力先が反対になっている。開閉器の向こう側は青が左、赤が右で正しい(出所:エネテク)
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 本来なら、赤の被覆の電線を右に、青の被覆の電線を左に入力しなければならない。開閉器の上に少し見えている開閉器以降の配線は、正しく赤の被覆の電線が右に、青の被覆の電線が左に配線されている。

 エネテクによると、この間違いが起きる理由の一つは、家庭用の電気設備をメインに手掛けている電気工事会社が施工する場合に、日常のクセで配線してしまうことにあるという。

 家庭用の交流の開閉器(ブレーカー)の場合、正極が向かって左で負極が向かって右に配線する仕様が多い。

 この仕様に慣れた作業者が、太陽光発電所の施工を担当した場合、正負の左右の並びが逆のことが多い接続箱の配線時に、日ごろの慣習そのままに配線してしまい、正負の極性を逆に入力するように施工してしまうというものだ。

 直流回路の正負極を逆に配線した場合、大きな電流が逆流してしまうリスクがある。正負極性を逆に接続すると、太陽光パネルによる発電電流はパワーコンディショナー(PCS)に向けて流れない。逆に、ほかの接続箱から、PCSに流れるはずの電流が流入することがある。

 このリスクを防ぐ手法として、ほとんどの接続箱には、逆流を防止するための対策が施されている。大きく、ヒューズを採用する場合と、ダイオードを採用している場合がある。

 逆流防止用にヒューズを採用している接続箱の場合、正負極を逆に入力した場合、太陽光発電所で発電を開始する際に、接続箱のスイッチをオン状態に切り替えた時に、ヒューズが溶断する。これによって、大きな電流が逆流することを防ぐ。

 逆流防止用にダイオードを採用している接続箱の場合には、溶断などはせずに、スイッチがオフ状態とおなじように、そこから先の送電が止まる。

 いずれにしても、極性を逆に接続した場合には、その回路からPCSには送電されず、そのままロスとなる。

【エネテクによるトラブル・シューティング】