トラブル

発電ロスの元、「接続間違え」を甘く見ない(page 3)

エネテク 第14回

2018/07/19 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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並列も重なる化合物型の接続間違え

 結晶シリコン型以外の薄膜系のアモルファスシリコン型や化合物型の太陽光パネルは、パネル1枚の電圧が高いため、ストリング回路は直列と並列を組み合わせて構成する。

 ストリング回路の電圧は直列接続する枚数に比例して高くなり、電流は並列数に比例して大きくなる。このため、一つのストリングで同じような電圧、電流を得ようとすると、パネル1枚の電圧・電流値により、ストリング構成が大きく変わってくる。

 一般的に、結晶シリコン型では、直列接続する枚数が12~24枚程度、並列数は1列で、これに対して、薄膜系では直列接続する枚数が4~10枚程度、並列数が3~4列などとなる。接続の複雑さが増すことから、薄膜系の方が接続の間違えが多くなるという。

 化合物型の太陽光パネルを導入した出力約49.9kWの太陽光発電所から、エネテクに点検の依頼があり、出向いて標準的な点検をしてみると、電流-電圧(I-V)特性の測定で異常を発見した(図5)。

図5●化合物型パネル約1枚分少ない
電圧、電流の低さから接続間違えが疑われた(出所:エネテク)
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 この太陽光発電所は、出力160W/枚のCIS化合物型パネルを312枚、施設の屋根上に並べている。ストリングの構成は、4直列・4並列、4直列・3並列の2種類で構成していた。いずれも直列枚数は4枚なので、電圧は約430Vで変わらない。

 しかし、同じ接続箱に入力していながら、隣り合うストリングにおいて、一方が427.2Vと正常なのに対し、もう一方のストリングは344.1Vと83.1Vも低かった。出力(Pmax)も743.8Wに対して、562.4Wと181.4Wも低い。おおよそ太陽光パネル1枚分の差があり、その原因として太陽光パネルの接続間違えが疑われた。

 不具合の特定では、苦労があった。詳細な回路図がなかったのである。そこで、エネテクでは赤外線カメラと、戸上電機製作所の「セルラインチェッカー」を使い、回路を特定した。

 セルラインチェッカーは、故障パネルの特定に使われる機器だが、設計図と異なっているストリング構成の場合や、今回のように図面を入手できない場合に、ストリングを構成する太陽光パネルの配置の特定に応用できる(関連コラム)。

 赤外線カメラを使ったのは、パネルの過熱を疑ったからだった(図6)。直列接続の枚数が設計より少ない並列回路には、負荷がかかり、過熱しているのではないかと予想した。実際に、予想したとおりの熱分布が見られた。

図6●図面がなく赤外線カメラなどを使って回路構成を把握
直列接続の枚数を少なく間違えた回路で熱分布の異常(出所:エネテク)
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 これらの調査の結果、電圧に異常を来たしていたストリングは、直列接続の枚数に誤りのある並列回路を含んでいた(図7)。

図7●直列接続枚数を間違えた並列回路
ストリングの構成枚数も増減(出所:エネテク)
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 4直列・4並列の16枚で構成されているはずが、4直列・3直列で、残りは3直列・1並列で15枚と1枚少ない構成だった。この隣のストリングは、この1枚少ない枚数を吸収するように、4直列・3直列で、残りは5直列・1並列で17枚と1枚多い構成だった。

 この4直列・3直列で、残りは3直列・1並列で15枚と1枚少ない構成のストリングで、電圧が約80V低かった。

 これらの接続間違えを是正した後、発電時のI-V特性を調べると、是正前は電圧が約80V低かったストリングで、電圧が424.1Vと約80V上がり、正常になった。発電量も約1枚分の上昇を確認できた(図8)。

図8●是正後は電圧が正常に上がる
直列を1枚増やした分に相当する約80V上昇(出所:エネテク)
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 是正前の好天時には、隣の正常なストリングの出力が1609Wだったときに、この接続間違えのストリングでは出力は1195Wで414W低いといったデータもあった。パネル約3枚分の発電をロスしていたことになる。

 是正後に熱分布も調べたところ、過熱も解消されていた(図9)。

図9●熱分布も正常に
過熱していたパネルも周囲とほぼ同じ温度分布に(出所:エネテク)
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 今回、紹介したような太陽光パネルの接続間違えは、稼働開始後、一度も点検をしていない発電所で比較的多くみつかる不具合という。中でも、配線図が残っていない、配置図と実際の配置が違うといった場合には、要注意としている。

 1枚の接続間違えでも、20年間の売電期間を考えると、影響は大きい。しかも、今回のCIS型パネルの接続間違えが見つかった発電所では、遠隔監視システムが導入されていた。それでも、施工ミスによる接続間違えを発見できなかった。

 こうしたことから、施工時の記録を入手し、保管しておくことの重要性と、施工会社ではない第三者による点検が有効な場合もあると強調している。

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