シカが侵入、太陽光パネル上に乗って破損

エネテク 第16回

2018/08/17 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 国内各地の森林や里山で、近年、シカが急激に増えている(図1)。個体数の増加に伴い、木の皮をはがす、木の芽や草を食べつくすなど、食害による生物多様性への影響が深刻化している。人里に近づいて、農作物を食べるといった被害も相次いでいる。

図1●神奈川県内の山で遭遇したシカ
太陽光発電所内ではない(出所:日経BP)
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 シカは、太陽光発電所に侵入することもある。

 シカは、跳躍する能力が高い。高さ1.8mといったフェンスを外周に設置していても、フェンスの外側が斜面で、上っていくような地形など、周辺環境や設置の状況によっては、フェンスを飛び越えて敷地内に侵入してくることがある。

 また、フェンスに隙間が空いていると、そこから侵入してくることもある。

 エネテクが、千葉県の太陽光発電所に点検に向かうと、太陽光パネルのカバーガラスが割れ、その割れの起点に大きな打痕のような跡が残っていた(図2)。

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図2●シカの蹄のような打痕が見える
千葉県の太陽光発電所における例(出所:エネテク)

 強い力と重さが加わったことがわかるような複数の打痕が、一定の間隔で残っていた。カバーガラスの割れでは、カラスによる石落としの被害が多い。しかし、今回は、カラスが石をくわえ、上から落としてできる跡とは、明らかに違っていたという。

 近くには山林があり、シカがいそうな場所であること、また、残っていた強い打痕の一部が、シカの蹄(ひづめ)の形に見えることから、シカが敷地内に侵入し、太陽光パネルの上に飛び乗ることによって、蹄が乗った部分に大きな衝撃がかかり、割れたものと推測した。

 この太陽光発電所の場合、比較的、積雪の少ない地域に立地することから、太陽光パネル低部の地面からの設置高は1m以下となっている。シカが飛び乗れる高さだった。

 もし、多積雪地域で太陽光パネルの設置高が、一定以上に高かったならば、こうした被害は受けなかった可能性があるとしている。

 被害に遭った太陽光発電所では、今後、シカが侵入しにくくなるような対策が急務になる。まず、フェンスに隙間がある場合、ふさぐことが必要になる。

 また、下ってくる斜面の下側に太陽光発電所が位置する場合には、フェンスの上に「忍び返し」と呼ばれる金具を取り付けることも有効な場合がある。

 敷地の外あるいは内に向けて折り曲げたような部材で、シカにとって、柵の上に向かって飛んでも、飛び越えられないように見えて抑止策になる。忍び返しは、イノシシ対策としても知られている(イノシシの侵入に関するトラブル・シューティング)。

 また、遠隔監視用の赤外線カメラを使い、シカなどが侵入していないかどうかの確認に使っているメガソーラー(大規模太陽光発電所)もある(三沢市の発電所の例)。

【エネテクによるトラブル・シューティング】