発電量や日射量のデータ送信が停止、原因はカラス

エネテク 第17回

2018/09/13 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 鳥によるトラブルとして、太陽光パネルにこびり付くフンは、多くの発電所で悩みの種になっている。このほかにも、カラスが飛来し、太陽光パネルの上に石を落としてカバーガラスを割る被害もある。今回は、配線を損傷した例を紹介する。

 大型の商業施設の屋上を活用し、太陽光パネルを並べた発電所において、稼働してから間もなく、日射計で計測している日射量のデータが届かなくなった。

 一般的に、日射計で計測したデータは、計測装置に送られた後、遠隔監視システムを通じて送られ、発電事業者やO&M(運用・保守)サービス事業者が確認できるようになっている。

 日射量のデータが届かなくなった後も、発電量のデータは確認できていた。このため、遠隔監視システム自体は機能しており、何らかの理由によって、日射計のデータが計測装置や遠隔監視システムに送られなくなっていると推測された。

 日射計そのものが壊れて機能しなくなっている可能性のほかに、計測装置にデータを伝送するための配線が断線していることなども考えられた。

 エネテクの担当者が現地に出向いてみると、日射計と計測装置を結んでいる配線が、断線していた(図1)。

図1●断線していた日射計の配線
カラスが引き破ったとみられる(出所:エネテク)

 日射計側の配線の接続口から引き抜かれたような状態で、配線は完全に切断されていた。配線を保護するために周囲をおおっている樹脂製の被覆とともに、接続口から引き破られたような損傷だった。

 施設の屋上という、部外者が容易に近づけない場所ということもあり、カラスなどの鳥の悪戯による損傷とみられる。

ボルトが無くなる

 この施設の屋上の太陽光発電設備は、施工中からカラスによる悪戯に悩まされていた。

 太陽光パネルの設置時には、一定の単位の枚数のパネルなどの資材を屋上に置き、屋根に金具を取り付けた後、金具にパネルを固定する。金具やパネルの固定には、ボルトが使われる(図2)。

図2●屋根上にボルトで太陽光パネルを固定している例
今回紹介した発電所の例ではない(出所:日経BP)
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 この作業中に、ボルトがたびたび無くなった。

 そこで、状況をよく観察してみると、カラスが飛来し、作業員の隙を見て、ボルトを咥えて飛び去っていることがわかった。

 このため、屋上に置いたボルトの管理をより厳格にすることで、カラスによるボルトの「盗難」を防いでいた。

 発電設備が完成し、稼働を開始すると、施工の作業者が屋上からいなくなるので、カラスはより発電設備に近づきやすくなる。そこで、今度は日射計の配線を引き抜いたと見られる。太陽光パネルのカバーガラスが割れる被害も起きた。

LANケーブルが突かれ、発電量を確認できず

 別の太陽光発電所では、遠隔監視システムの情報をインターネット上で確認できなくなった例もあった。発電量の情報が確認できない場合、その原因として、発電自体が停止しているか、遠隔監視システムの不具合が考えられる。

 エネテクの担当者が現地に向かって調べていると、発電は止まっておらず、稼働を続けていた。

 しかし、遠隔監視システムのデータ送信を担う通信ケーブルに、破損している場所があった(図3)。通信には、一般的なLAN(local area network)を採用している。

図3●突かれて損傷していたLANケーブル
1対・2本の銅線が損傷(出所:エネテク)
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 このLANケーブルの経路の1カ所で、外を覆う被覆が破られたうえ、配線の一部が損傷していた。LANケーブルは、8本の銅線を2本ずつ撚って4対で構成されている。このうち1対・2本の銅線が損傷していた。

 銅線を覆う被覆に、鳥のクチバシで突いたような跡が残っている上、一部でこの被覆が剥がれ、銅線が剥き出しになって損傷していた。

 このLANケーブルを取り替えると、遠隔監視システムは正常に戻り、発電量などのデータの送信が復旧した。

 こうしたカラスによると思われる配線の断線の被害を防ぐためには、ラックなどを適切に活用するなど、配線をより強固に保護する工夫が必要になる。カラスが多く飛来する場所では、とくにそのような対策が欠かせない。

 一定のコストはかかるために、こうした予防策を省く発電事業者も多いが、それほど高額ではなく、被害にあって修復させるまでの手間とコストを考えれば、施工時から対策を打っておくことが長期的な運営の面では望ましい。

【エネテクによるトラブル・シューティング】