パワコンが「爆発」、埋めた木の腐食に起因?

エネテク 第19回

2018/10/11 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回、紹介するのは、太陽光発電所において、パワーコンディショナー(PCS)が「爆発」した例である(図1)。この発電所は出力が数百kWで、高圧配電線に連系している。

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図1●爆風で内側から吹き飛んだPCS
内部がむき出しになっている一方、燃えた跡はまったく見えない(出所:エネテク)
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 この太陽光発電所は、点検や調査について、エネテクが担当する方向で協議していた。

 その協議中に、電気主任技術者から発電事業者に、「PCSが爆発した」という報告が入った。現地から送られてきた画像を見ると、PCSの一部が吹き飛んで内部までむき出しになっている状態で、画像を見ただけでも、何か強い衝撃を受けたことが推察できた。

 エネテクによると、この爆発は、PCSに生じた問題によるものではないと推測され、PCSにはまったく非がない現象という。

 この後、エネテクは、この太陽光発電所の点検や調査を受託することになった。同社が調べた結果、この太陽光発電所には、さまざまなトラブルが起きていた。いずれも設計や施工の段階で問題があったために生じたと見られる不具合だった。

 設計や施工に多くの問題がある太陽光発電所では、同時に複数のトラブルが顕在化することも多く、この太陽光発電所は、その中でも「トラブルの見本市のような状況だった」という。

 不適切な設計や施工によって、発電量が見込みより下回っているだけでなく、発電設備のトラブルも少なくない。PCSの爆発によって、発電事業を継続するために、当初は想定していない設備の入れ替えや工事のやり直しまで必要になった。

 たまたま隣接地には住宅や企業の施設などが立地していなかったものの、隣接していた場合には、爆風によって吹き飛ばされた発電設備が、隣接地で通行者を負傷させたり、住宅や施設、車両などを損壊させる危険性が高かった。

 こうした状況を招かないためにも、適切な設計や施工、運営の重要性を、改めて強く認識させられる例である。

地盤沈下でボーリング調査中に

 PCSの爆発に至った直接の原因は、この太陽光発電所内で実施された、ボーリング調査と呼ばれる地中の調査だった。

 稼働中の太陽光発電所の敷地内で、なぜ地中の調査が必要になったのか。

 それは、敷地内で過剰に地盤が沈下し始めていたためだった。過剰な地盤沈下の原因は、施工時に地中に埋めた木にあると考えられた。

 太陽光発電所の施工時に、もともと敷地内に生えていた木を伐採し、それを敷地外に持ち出して処分せず、細かく砕いてチップ状にし、地表を覆うことで防草効果などを狙う手法は、国内の太陽光発電所で一般的に採用されている。

 ところが、この太陽光発電所では、伐採した木を細かく砕くことをせずに、そのまま地中に埋めていた。

 地盤沈下したのは、木をそのまま埋めていた場所だった。このため、木が腐って硬度が下がったり、体積が減ったりすることによって、地表の土が沈下したと推測された。

 その影響は、発電設備にも及ぶことが予想された。アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)が地盤沈下の影響を受け、沈み込むといった状況が生じることが予想できた。

 そこで、発電事業者は、埋めた木の状況を把握するために、ボーリング調査をすることにした。

 ボーリング調査の際、円筒状の器具で地中に掘り込んでいたところ、太陽光発電システムの電線を損傷させてしまった。すると、電線が損傷した場所の周囲は焦げ、さらに、この損傷場所から離れた場所にあるPCS内から爆風が吹き出し、筐体や部品が外に向けて飛散した。

木を砕かずに埋め、腐ってガスが発生?

 エネテクによると、細かく砕かずに地中にそのまま埋めた木は、腐った結果、なんらかのガスを発生させていたのではないかと推測できるという。

 その状況で、ボーリング調査時に保護用の配管と電線を損傷させてしまったために、配管を通じてPCS内にガスが流れ込んだと見られる。この状態で、電線の損傷によるアークが発生し、配管やPCSに流れ込んだガスに引火して爆発したという、不幸と言える現象が次々と重なったのではないかと見ている。

 爆風によって、PCSは激しく損壊しているものの、PCSには燃えた様子はない。

 PCS内から爆風が吹いたプロセスについては、解明できていないものの、ボーリング調査によって損傷した電線の周囲は焦げていることから、この付近で発生したアークでガスが引火して爆発したと見られる。PCSが激しく燃えたりせず、配管を通じた爆風による被害で済んだことは、不幸中の幸いだった可能性がある。

 PCSから吹き飛んだ筐体の扉などの中には、少し離れた場所まで飛んでいったものもあった。隣接している山林の中まで、吹き飛んでいった(図2)。

図2●隣接する山林に吹き飛んだ筐体の扉
爆風の威力を物語る(出所:エネテク)
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 たまたま隣が山林だったために、吹き飛んでいっただけで済んだものの、もし隣が住宅や道路、企業や公共施設だった場合には、人命や設備が無傷では済まなかった恐れがある。

 太陽光パネルの一部も、この爆風により損傷していた(図3)。

図3●爆風によって曲がった太陽光パネル
両隣のパネルには、この損壊が見られない(出所:エネテク)
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 架台に固定されたまま、大きく曲がって高く盛り上がったうえ、カバーガラスが粉々に砕けている太陽光パネルがあった。しかし、この両隣のパネルには、このような損壊は生じていない。

 爆風の威力を物語るとともに、まるでゴジラの吹く火炎のように、ある程度、狭い範囲で吹き抜けていったことが伺える。

 この事故の後、この太陽光発電所では、造成からやり直し、損傷した発電設備は入れ替えて、発電所を復旧させた。

【エネテクによるトラブル・シューティング】