ドローンの空撮動画で見つかる「太陽光パネルのバックシート剥がれ」

エネテク 第22回

2018/11/22 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回は、太陽光パネルの「バックシート剥がれ」の起きた発電所を取り上げる。最近、ドローン(無人小型飛行体)による熱分布画像の空撮で発見しやすい不具合の一つとなっているという。

 「バックシート剥がれ」は、文字通り、太陽光パネルの裏面を保護する役割を担っている樹脂製のバックシートが、パネルから浮くように剥がれてしまう状態を指す。

 エネテクがドローンによる太陽光パネルの点検を受託し、この発電所に出向いて熱分布の画像を撮影したところ、大きく円状に温度分布の異常を示したパネルを発見した(動画1)。

動画1●広範囲に切り替わるころに丸い温度異常が写っている
ドローンで発見した太陽光パネルのバックシート剥がれ(出所:エネテク)

 この異常の様子を把握し、原因を推測するために、すぐに地上からこの太陽光パネルに近づいて、状況を確かめた。

 表面からこの太陽光パネルの該当箇所を見てみると、通常は結晶シリコンのセル(発電素子)間に見える白い線が見えない状態だった(図1)。

図1●セル間に見えるはずの白い線が見えない
表面の様子(出所:エネテク)
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 この白い線は、樹脂製のバックシートがセルとセルの隙間を埋めている部分で、この隙間でカバーガラスと直接接し、白色のバックシートがガラスを通じて見えている。異なる色のバックシートを使えば、白ではなく、その色に見える。

 そこで、バックシートに何らかの不具合が生じていることが予想された。

 架台の下に潜り、裏面の該当箇所を調べてみると、この場所のバックシートが膨らんで、セルやカバーガラスと密着していない状態だった(動画2)。触ってみると、ぽこぽこと凹んだ。

動画2●空気が入っている
裏面から触るとよくわかる(出所:エネテク)

 製造時には密着していたはずのバックシートが剥がれ、中に空気が入っている。この部分は、密封されていない状態となっている。

 この不具合は、「ラミネーション不良」などとも呼ばれる。

 一般的な太陽光パネルの不具合は、熱分布の画像として、他の部分よりも過剰に熱を帯びていて、真っ赤な色に染まることがほとんどである。一方、このバックシートの剥がれの場合、セルは過熱しているのではなく、逆に、中に入った空気によって、熱分布画像では他の部分よりも低温に表示され、青っぽく見える(図2)。

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図2●裏面の様子(上)と状況の説明(下)
バックシートが剥がれて空気が入り、温度分布は低温側の異常を示している(出所:エネテク)
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【エネテクによるトラブル・シューティング】