強風で「電線が外れる」、台風で相次いだ想定外の売電停止

エネテク 第23回

2018/12/05 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回は、低圧配電線に連系している太陽光発電所で、売電が停止してしまった例を取り上げる。2018年の夏から秋にかけ、立て続けに襲来した台風の強風によって起きたとみられる。

 いずれもエネテクのO&M(運用・保守)サービスの受託先の低圧太陽光発電所で、現地に駆け付けて調べたところ、複数の発電所が似たような原因で停止していることがわかった。

 例えば、東京電力管内の低圧太陽光発電所では、遠隔監視システムの警報で売電が停止していることがわかり、エネテクのO&Mサービスで遠隔監視を担う「ソラパト監視センター」(関連ニュース)から、現場対応部隊に駆け付け対応を指示し、現場へ急行した。

 エネテクの点検担当者が発電所内に入って調べてみると、パワーコンディショナー(PCS)は稼働を止め、待機の状態になっていた。

 また、PCSのブレーカーは、すべてオンの状態だった。この状態であれば、通常はPCSに電気が通り、ある程度の電圧を計測できる。しかし、電圧は極端に低かった。

 次に、1次側(電力系統側)のブレーカーを通じて電圧を計測した。ここでは、電圧がゼロを示した。ここまでの調査によって、連系先の低圧配電線側のトラブルであることが判明した。

 そこで、東京電力グループに対応を求めた。電力会社による点検によって、高圧配電線から引き込んで変圧し、連系先の低圧配電線に接続する設備に不具合が起きていることがわかった(図1)。

図1●連系先の送電線が切れ落ちていた
木の枝が近いことがわかる(出所:エネテク)

 低圧配電線は、高圧配電線の電柱に固定された設備を起点としている。電柱に取り付けられた変圧器を通して、高圧から低圧に変圧し、そこから低圧の電気を配電している。変圧器には、高圧配電線から接続された、「高圧引下線」と呼ばれる電線を通じて電気が送られている。

 この「高圧引下線」が外れ、空中に垂れ下がっていたことが原因だった。低圧配電線に住宅などの需要家が接続されていれば、停電の通報ですぐに気付くが、今回の例の場合は、この事業用の低圧太陽光発電所しか連系していなかった。このような場合、電力会社が断線に気付くのが遅れるものと思われる。

 東京電力グループが「高圧引下線」を適切に接続し直した後、連系が復旧した。電力会社側に原因がある売電停止であることから、こうした調査や対応は迅速だった。

 東京電力グループによる説明では、この場所の高圧配電線は元々、近くに木が立っており、木の枝などが電線などに触れやすい状況にある。今年の夏から秋には強い台風が多く通過し、例年よりも強い風が吹くことが多かった。その際の強風によって、枝が触れるなど、「高圧引下線」が強く揺すられたことが原因ではないかとの説明だったという(図2)。

図2●電力会社による対応は早かったという
強風で枝が当たり、電線が強く揺すられたことが原因と推測(出所:エネテク)
クリックすると拡大した画像が開きます

 最近、エネテクが調査を担当した発電所では、四国電力管内の低圧太陽光発電所でも、同じような電線の外れによる売電停止の例があった。

 四国の例では、台風が通過した後、発電が止まった可能性のある低圧太陽光発電所があることが、エネテクの監視センターで確認され、現地に駆け付けて調査した。

 現地で調べてみると、東京電力管内の例と同じように、「高圧引下線」が外れていた。四国電力がすぐに対応し、売電が再開した(図3)。

図3●「高圧引下線」が切れている(左上)様子がよくわかる
四国における例(出所:エネテク)
クリックすると拡大した画像が開きます

 太陽光発電設備には問題が生じていなくても、このように連系先の配電線側の問題で売電が停止することがある。

 こうした場合、「売電収入補償」付きの損害保険に加入していれば、本来得られたと想定される売電収入が保険で補償される。しかし、高圧以上の発電所では多く加入している一方、低圧太陽光の場合、このタイプの保険に加入していることは少ないと見られる。

【エネテクによるトラブル・シューティング】