絶縁不良で稼働停止間近に、原因はコネクタに穴

エネテク 第24回

2018/12/19 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回は、太陽光パネル間のケーブルとケーブルを結ぶコネクタに穴が開き、絶縁不良を引き起こしていた例を紹介する。

 エネテクがO&Mを受託している出力約260kWの高圧配電線に連系している太陽光発電所における例で、同社が精密点検と呼んでいる年次点検の際に発見した。

 この精密点検時の測定項目に、直流側の絶縁抵抗の測定がある。この発電所の場合、出力10kWの小容量のパワーコンディショナー(PCS)が26台設置されている。こうした小型のPCSを使う場合、太陽光パネルで発電された電気は、接続箱を介さずにPCSに入力されている。パネルを接続した単位であるストリングごとに1回路ずつの入力となる。

 こうした「分散型」と呼ばれるPCS構成の太陽光発電所では、直流回路の絶縁抵抗は、PCSの直流側の入力端子を通じて測定される。

 直流回路ごとの絶縁抵抗を測定した結果、絶縁抵抗値が通常よりも明らかに低い回路が見つかった(図1)。正常値よりも低い直流回路が混ざっていたものの、該当するPCSは稼働を続けていた。

図1●絶縁抵抗値が大幅に低い回路を発見
(出所:エネテク)
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 具体的には、通常の状態の回路の絶縁抵抗値が13.7MΩなどを示したのに対して、絶縁不良が見つかった直流回路では、0.805MΩを示した。

 この回路は、開放電圧が300V以上あり、こうした場合の絶縁抵抗値の良好と不良をわける基準値として、「0.4MΩ以上」という値を定めている。

 この数値はクリアしていたものの、他の回路より大幅に低かったため、何らかの異常が生じていることが推察でき、より詳細に調査することにした。

 該当する直流回路を詳しく調べていくと、太陽光パネル間のケーブルとケーブルを結ぶコネクタに、穴が開いている場所を見つけた(図2)。この穴の開いていた部分が、絶縁抵抗値が低くなっていた原因となっていた。

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図2●穴が開いていたコネクタ
(出所:エネテク)

 絶縁抵抗値が低い状態のまま発電を続けると、PCSなどの発電設備の損傷や、感電などの危険が高まる。

 穴が開いていたコネクタは、腐食した上、中に水が入っていた。

 架台に這わせるように配線されていたことが、水がより入りやすい原因となっていた(図3)。雨が降った際、雨水は太陽光パネルの表面や架台を伝うように流れ落ちる。こうした場所に這うように配線されていたことで、ケーブルやコネクタはより濡れやすくなる。

図3●ケーブルの敷設にも問題
(出所:エネテク)
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 コネクタに穴が開いただけでなく、こうした状態に敷設されていたことが、水が入りやすくなる遠因になっていたと推察された。

 エネテクでは、応急措置として、この絶縁不良を生じていた場所を、絶縁テープを巻いて補修した(図4)。この後、再び絶縁抵抗値を測ると、計測値は他の直流回路と同じようなレベルまで回復していた。

図4●絶縁テープを巻いて補修
(出所:エネテク)
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 同社によると、この絶縁不良の進行によって、地絡してPCSが稼働を停止するのは時間の問題だったと分析している。

 コネクタの腐食による絶縁不良の例は、増えてきているという。直流回路の地絡の原因で多い一つとしている。

 PCSの機種によっては、直流回路の地絡が生じる兆候を把握すると、警報を送信するものもある。この警報によって、地絡によってPCSが稼働を止める前に現地を点検して対処できる場合もある(関連コラム:愛知県のメガソーラーの例)。

 今回の例は、こうした機種ではなく、精密点検の機会がなければ、発見されずにそのまま稼働が続き、PCSの稼働停止に至った可能性もある。売電機会の損失を招くとともに、感電などの危険が生じていた恐れもあり、適切な点検が奏功した例の一つとなった。

【エネテクによるトラブル・シューティング】