メガソーラービジネス

「FITからの自立は太陽光発電事業者の責務」、JSECの東原代表理事に聞く(後半)

メガソーラービジネス・インタビュー

2019/05/17 06:00
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ

今年2月27日、太陽光発電事業者の業界団体として一般社団法人・日本再生可能エネルギー事業者協議会(JSEC : Japan Sustainable Energy Council、事務局:東京都港区)が設立された。発足時の賛同者は法人・個人の約150で、代表理事には山佐(岡山県新見市)で特高・高圧開発責任者を務める東原隆行氏が就任した。インタビューの後半では、東原代表理事に太陽光発電事業者の課題、FIT後のあり方などに関して聞いた(関連記事:「再エネ発電事業者の実情を政府に伝えたい」、JSECの東原代表理事に聞く=前半)。

「追加投資して20年以上、発電継続を」

政府は、「再エネの主力電源化」を掲げ、中でも太陽光が担うポジションは大きくなっています。実際に太陽光が主力電源になるため、発電事業者にはどんな課題がありますか。

一般社団法人・日本再生可能エネルギー事業者協議会(JSEC)の東原隆行代表理事
(撮影:清水盟貴)

東原 今後、太陽光発電事業者に課せられた最大のテーマは、「FITからの自立」です。これは、課題というより、発電事業者の「責務」であり、「使命」とも言えます。国民に負担していただいて世に出たメガソーラーが、FIT後にパタッと発電を止めてしまったら、20年間支えてもらった意味がありません。メガソーラーは出力規模が大きいだけに国のエネルギー政策に与える影響も大きくなります。賦課金の問題が強調されますが、20年のFIT期間終了後も、40年、50年と発電を継続すれば、その分、国民負担は薄まっていくことになります。

 重要なのは、一度、建設して稼働したメガソーラーを20年以上、継続して運営していくことです。そのためには、稼働後の点検や保守がポイントになります。

 個人的なイメージでは、FITにより稼働して10年目ぐらいに、クルマの車検制度のような点検を受けて、それをクリアした発電所に関しては、FIT期間終了後も、ある程度の事業性を持って発電を継続できるめどが付けられる形が理想です。そうなれば、20年以上の発電事業を想定して、早めに追加投資を行うことも可能になります。

FITから「RE100」に価値移行

FITからの自立を考えた時、住宅太陽光や事業所の屋根上太陽光は、自家消費型への移行により、kWh当たり十数円から20数円の経済価値を持ち得ます。敷地内に需要を持たない野立て型太陽光は、卸電力市場で競争しなくてはなりません。

東原 現在の太陽光発電の経済的な価値は、FITに依存しています。卸電力市場の価格以上の値段で販売できるのはFITがあるからです。FIT期間が終了した後、市場価値を越えて太陽光の価値を高めるには、「RE100」加盟企業の増加など、環境価値に期待するところが大きいと言えます。

 個人的には、今すぐにでも、FITスキームを使わずに再エネ価値を全面に打ち出して事業性を確保できるならば、そちらに移行すべきだと考えています。

 加えて、技術的な面で期待しているのが、蓄電池システムの低価格化です。不安定電源である太陽光を蓄電池と組み合わせて、安定電源にできれば、電気としての価値は大幅に高まります。この分野でのブレークスルーを後押しできればと思っています。

 いずれにせよ、今後は、いかにFITに頼らずにメガソーラーが自立していくか、みんなで知恵を出していくことが重要で、発電事業者にとっては、「FITの後こそが勝負」と言え、真価を問われることになります。

政府は、太陽光発電設備の廃止後への対応から、廃棄費用を源泉徴収方式で積み立てるイメージの制度を検討しています。太陽光設備の適正処理やリサイクルに関しては、どのように考えていますか。

東原 太陽光パネルなどの廃棄問題は、たいへんに重要なテーマと認識しています。ただ、源泉徴収のように集めて外部に積み立てるような方法は、柔軟な投資戦略を考えると、やや違和感もあります。

 というのは、太陽光パネルの変換効率は急速に向上しつつ、価格も低下しているため、20年間のFIT期間終了を待たずに全面的に張り替える動きが顕在化する可能性もあるからです。実は、すでに山佐では、そうしたケースがあります。

 FIT期間の終了後も発電を継続するという視点からも、パネルの交換などは、早めに各発電事業者が判断することが重要です。リサイクル対策には、こうした実情にも配慮して制度を設計して欲しいと考えています。

会員企業の合計で「10GW」に

業界団体として影響力を高めるには、会員企業数や業界内での加入率(カバー率)が1つの目安になります。目標としている数値はありますか。

東原 現在までの賛同者は約150社で、これら企業の持つ太陽光発電所の出力規模は合計で数GWになります。今後、さらに会員を募り、加盟企業の発電所規模で10GWに達することを目指しています。国の掲げるエネルギーミックスの太陽光の目標が約60GWなので、10GWを越えれば、それなりの存在感を示せるのではと期待しています。

 といっても、事業用低圧太陽光の事業者など、相対的に規模の小さい発電事業者の加盟も増やし、さまざまな立場や視点から議論していきたいですし、発電事業者を支えてくる設計・施工事業者にも、積極的に参加を呼び掛けていくつもりです。

 これまで再エネ開発会社は、新規案件の発掘や建設では競争してきました。もちろんこれからも切磋琢磨していきますが、協力して互いに高めていく側面も重要になっています。そうすることで、再エネ事業の品質を向上させつつ、さらに拡大できればと思います。

 海外では、日本の太陽光発電所の品質は世界トップとの評価を聞くこともあります。現在では、「再エネの聖地」と言うと欧州ですが、将来的は、技術的にも量的にも、「再エネといえば日本」という評価が得られるようになればと期待しています。

一般社団法人・日本再生可能エネルギー事業者協議会(JSEC)の東原隆行代表理事
(撮影:清水盟貴)