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グリーンモンスター「クズ」に立ち向かうには? 緑地雑草科学研究所に聞く(第8回・特別編)(page 5)

メガソーラービジネス・インタビュー

2018/09/20 05:00
金子 憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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「春秋2回刈り取り」は効果なし

それでは、クズを管理していくには、どんな手法が有効なのでしょうか。

緑地雑草科学研究所の伊藤幹二・理事

伊藤(幹) 細かい管理手法について解説する前に、強調したいのは、これだけで完全と言う手法はなく、複数の手法を組み合わせ、数年かけて対策していくことになります。さらに言えば、クズのように広範囲に繁茂する難防除雑草に管理するには、本来、一事業者だけの対策では限界があり、自治体とも連携した統合的、段階的な対策が求められます。

 こうした全体論を踏まえたうえで、クズの具体的な管理手法を大きく分けると、刈り取りなどの「機械的な部分除去法」、防草シートによる「物理的な抑圧法」、化学薬剤(土壌処理剤、除草剤)による「化学的な抑圧法」があります。

 このうち機械的手法としては、人力でツル(新茎)を刈り取る「刈り払い」、人がツルを手で引きはがす「引きはがし」などがあります。

 これらの手法のうち、現在、最も多く見られるのは、人力による「刈り払い」だと思います。鉄道や道路、河川、空地、耕作放棄地などで広範囲に採用されています。

地下部に貯めた栄養が多いため、やはり、「刈り払い」だけでは限界がありますか。

伊藤(操) 「刈り払い」は、除去の効果がないばかりか、場合によっては、かえって成長量を増やしてしまうことに注意が必要です。

 機械除草などによる「刈り払い」は、「地上部の成長部分が一時的になくなる」「茎があちこちで分断される」というダメージを与えているに過ぎません。

 地上部分を一時的に除去する対策は、現在、一般的に実施されている「春秋の2回刈り取り」では、クズを弱らせる効果はありません。春は地下の栄養分を地上部に送りつつある段階、秋は地上部の栄養を地下に送り切った段階なので、いずれも地上部のツルを刈り取っても地下に栄養分が多く残り、成長量を減らす効果はほとんどないでしょう。

 あえて刈り取りの効果が高い時期を挙げれば、真夏になります。地上部の成長のために地下部の栄養を使い切った一方で、光合成による栄養分を地下部に移していないからです。ただ、盛夏の炎天下での刈り払い作業は、熱中症の恐れがあり、作業者の健康に配慮すると、避けるべき時期になります。

 もちろん毎月にように頻繁にツルの刈り取りを繰り返せば、地下の栄養部が消耗して、クズ株全体が弱体化していきますが、経済性を考えると現実的ではありません(図7)。

図7●クズの刈り取り作業の様子(出所:緑地雑草科学研究所)
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