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空撮画像の分析も自動化、「誰でもできるドローン点検」目指す(page 3)

2MWのメガソーラーでは「分析時間3分」に

2018/07/20 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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うまく割り切ったソフトウェア開発

 太陽光パネルの配置図に入力する「不具合状況」は、4つに分けている(図4)。「ホットスポット」、「クラスタ故障」、「パネル異常」、「ストリング異常」である。

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図4●報告書の例
配置図上の位置と状況などを表記(出所:エナジー・ソリューションズ)

 「ホットスポット」は、部分的な過熱を示している場所を指す。主に太陽電池セル(発電素子)内の部分的な不具合で生じた過熱のほか、鳥のフンなどによるパネル表面の部分的な汚れ、雑草などによる影、ジャンクションボックスの不具合による過熱などが原因となる。

 「クラスタ故障」は、太陽電池セルを直列で接続したクラスタ単位の不具合を指す。内部配線(インターコネクタ)の不具合のほか、バイパスダイオードの短絡などが原因という。

 「パネル異常」は、太陽光パネル1枚の全体が過熱している状況を指す。ガラスの割れや、樹脂のバックシートの異常などが原因となる。

 「ストリング異常」は、太陽光パネルを直列で接続したストリング全体が過熱している状況を指す。太陽光パネル間を接続するコネクタの不具合や、電線の損傷、入力先の接続箱にあるスイッチの入れ忘れなどが原因という。

 温度分布の異常は、自動で検出している。温度分布に異常がある場所では、設定した基準温度との差を自動で検出し、表示する仕組みとしている。

 こうした情報が、クラウドコンピューティング上で処理、管理され、顧客にも閲覧できるようになっている。出力約2MWの発電所の場合、現状でも空撮から3営業日以内に顧客に報告できているという。後工程の効率化によって、所要時間とコストを削減できているようだ。

 後工程の効率化や自動化は、少なくない関連サービス企業でも取り組みはじめている。どのような理由で先行できたのだろうか。

 空撮したデータの量は、大規模な太陽光発電所になるほど大きくなる。それを力づくで綿密に分析するようなソフトやITシステムも実現できなくはない。しかし、それでは、システムや分析のコストが高くなってしまう。

 そこで、必要不可欠な情報だけを重視し、そのほかは適度に省くなど、割り切った考え方を採用したようだ。その結果、適切な精度や速度を維持しながら、軽くて使いやすく、低コストのシステムや分析が可能になり、後工程の効率化や自動化をいち早く実現しつつある。

 似たような発想を持っていたとしても、ソフトウェアに通じた人だけでは実現できず、太陽光発電に通じた担当者とうまく連携することで、はじめて実現できるとしている。

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