特集

国内初! 太陽光と蓄電池による「自営線マイクログリッド」(page 5)

東松島市の挑戦する災害でも生き残る街づくり

2016/08/05 00:00
金子 憲治
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災害時には3段階で電力供給

 災害時の運用では、CEMSにより、3パターンの給電を想定している。

 まず、系統が停電したら、約1分後に非常用ディーゼル発電機が自動的に動き出すとともに、太陽光と蓄電池を使って普段通りのレベルで電力供給を再開する。晴天が続いて太陽光が高稼働し、ディーゼル燃料の使用が少なければ1週間程度、雨天続きでも最低3日間は、この水準で自立運転できる見込みだ。

 次に停電が3日を超えて長引きそうな場合、まず85戸への電力供給を停止する。それによってディーゼル燃料の消費を節約し、緊急性と重要性の高い集会所と病院、公共施設に限定してより長期間、電力を供給する。

 さらに停電が長期化した場合、ディーゼル燃料を使い切り、補給できない事態も想定される。その際には、太陽光と蓄電池だけで、病院と集会所に最低限の電力供給を継続する。病院に備えている自家発電設備は、この段階で初めて使う(図8)。

図8●災害時の電力供給の考え方(出所:積水ハウス)
図8●災害時の電力供給の考え方(出所:積水ハウス)
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調整池の上に400kWの太陽光パネル

 「東松島市スマート防災エコタウン」のある約4haのエリアはもともと田んぼが広がっていた。そのため住宅地のある区画に隣接して、0.9haの調整池を設置して治水対策とした。400kWの太陽光パネルは、この調整池の上に設置した。池の底からパネルまで約1.5mの高さを空け、数度ほど傾けて設置した(図9)。取材で訪れた時には、前日に雨が降ったため、わずかに底に水が貯まっていたが、1日程度で蒸発してしまうという。

図9●太陽光は調整池の上に400kW分を設置した(出所:日経BP)
図9●太陽光は調整池の上に400kW分を設置した(出所:日経BP)
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図10●自営線の起点となる「イート1」電柱(出所:日経BP)
図10●自営線の起点となる「イート1」電柱(出所:日経BP)
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 太陽光パネルは、このほか、公営住宅のうち、3棟の集合住宅(5戸)の屋根に各20kWで合計60kW、集会所建屋の屋根に10kW設置しており、タウン内で合計470kWとなる。

 調整池に隣接したタウンの南側には、容量480kWhの大型鉛蓄電池、非常用ディーゼル発電機、そして、受変電設備、太陽光発電のPCSが設置してある。こうした電気設備を据えた区画の端に「イート1」との番号札の付いた真新しい電柱が立っている(図10)。これが、自営線の起点で、東北電力の系統との受電点になる。

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