経産省がFIT「抜本見直し」の検討開始、「市場との統合」も論点に

2019/04/24 16:37
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ

 経済産業省・資源エネルギー庁は4月22日、再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会を3カ月ぶりに開催した。固定価格買取制度(FIT)の抜本的な見直しを含めた、再エネ政策の今後のあり方について検討を始めた。

 同委員会は今年1月に開催し、FIT枠組みを基本とした再エネ政策の課題と方向性について取りまとめた。今回の会合は、FIT法で定められている「2021年3月31日まで」の「抜本見直し」のあり方を含め、より長期的な視点で再エネ政策を再構築するのが目的。

 事務局(経産省)では、検討のフレームワークとして、(1)電源の特性に応じた制度のあり方、(2)適正な事業規律、(3)次世代電力ネットワークへの転換――を掲げた。

 太陽光に関しては、(1)の「電源特性に応じた制度にあり方」として、「ポストFIT」の政策手法が最大のテーマになる。事務局は、検討のための資料に、再エネに関する主な制度として、「FIP(フィード・イン・プレミアム)」、「CfD(Contracts for Difference:差金決済契約制度)」など、市場取引をベースにした再エネ支援の仕組みを紹介した。

再エネ推進策の主な政策手法の例
(出所:経済産業省)
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 一方で、事務局は、現在のFITによる再エネ支援を「電力市場から半ば隔離された状況」と表現し、「再エネの電力市場への統合」を今後の論点の1つとした。

 こうした事務局の問題意識を受け、委員からは、「市場価格と連動した価格で再エネを買い取るFIPなどは、今後の方向性に1つ」など、前向きな意見が目立った。

 また、「電力市場への統合」では、現在、「FITインバランス特例」により再エネ発電事業者がインバランス(需給予測の外れ)リスクを負っていない点についても、今後の論点とした。将来、再エネ電源へのインバランス特例が廃止された場合、各事業者が発電量を予測し、外れた場合、コスト負担が発生する可能性があり、影響が大きい。

事業用低圧案件の再投資を促す

 (2)の適正な事業規律では、10~50kWの事業用低圧太陽光への危惧を示した。事務局は、この規模の太陽光を「小規模案件」と名付け、件数ベースで事業用の中の95%、容量ベースで3~4割に上ることを指摘し、「買取期間の終了後、政策措置の適用がなくとも発電事業が適正に実施・継続され、将来的な最投資が行われる事業環境を作り上げていくには、どのような対応が必要か」との課題を提示した。

国内では10~50kWの小規模太陽光が多くを占める
(出所:経済産業省)
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 こうした問題意識からは、買取期間の終了後に多くの撤退が指摘される事業用低圧太陽光に関し、その事業継続の推進に新たな政策を打つのではなく、事業環境を整備することで自発的な再投資を促すことが好ましいとの方向性が伺える。

 また、(3)の次世代ネットワークへの転換に関し、事務局は、「再エネの導入拡大に資する系統増強の費用負担について、全国大で回収する仕組みを選択肢の1つとして検討してはどうか」と提案した。こうした方向性に関して、委員の多くは賛同したものの、「再エネ賦課金のような形で広く電力利用者から集める場合、再エネに関連する設備増強とそれ以外の増強をいかに切り分けるのか」、「再エネのための新たな賦課金になるのであれば、総額4兆円というエネルギーミックス達成上の限度額に含めるべき」などの意見もあった。

 同委員会では、今後、数カ月かけて討議し、夏頃には、一定の結論を出すとしている。「FIT抜本見直し」に伴う政策措置に関し、法的な対応が必要な場合、2021年3月31日に間に合うように国会に法律案を提出する。ただ、法的な対応が必要になるのか、既存の法体系の枠組みのなかで対応できるのかは、今後の議論次第としている。