今回紹介する徳島県の松茂町、美波町、藍住町の位置
今回紹介する徳島県の松茂町、美波町、藍住町の位置

徳島県の北東部に位置し、紀伊水道に面した海の町でもある松茂町は、徳島阿波おどり空港や高速バスターミナル、松茂スマートインターチェンジを擁する交通の要衝であり、「徳島の玄関口」として発展を遂げてきた。

この松茂町は、南海トラフ巨大地震による大きな被害が予想され、対策が急務となっている。松茂町の吉田直人町長はこう語る。

「被害想定によれば、地震発生後45分で最大5.5mの津波が到達し、町内全域が浸水する非常に厳しい状況です。このため、松茂町では防災・減災対策を重要施策と位置づけ、町を挙げて取り組んできました」

松茂町の吉田直人町長
松茂町の吉田直人町長

地震発生時に職員の「足」とも言える公用車を津波から守るため、町役場の駐車場を立体化した。町の職員が災害現場を公用車で回り、必要な活動ができるように初動体制を整えなければ、準備していた防災計画が無駄になってしまうからだ。

また、「津波避難タワー」を建設したことで、町内にあった特定避難困難地域を全て解消することができた。こうした中、昨年3年5月には、地方創生の拠点として「マツシゲート」がオープンした。

この「マツシゲート」は、レストランやコワーキングスペースを完備し、野外でイベントなどを行う交流拠点施設であると同時に防災機能もあわせ持ち、災害時には復興拠点としての役割を担うという。周囲には、想定される津波の高さを上回る3mの防水壁が巡らされ、災害時には芝広場が仮設住宅の建設用地として活用される。また、キッチンスタジオには大型の回転釜や炊飯器があり、炊き出しにも対応が可能。屋外トイレは断水時にも使用できる設計になっており、避難生活に必要なライフラインが完備されている。

松茂町の交流拠点施設「マツシゲート」
松茂町の交流拠点施設「マツシゲート」

松茂町の防災ハード事業は、津波避難タワーの竣工により1つの節目を迎えた。とはいえ、防災対策にゴールはない。災害を想定した事前の備えが重要であると考え、今後も既存の避難所を強化し、よりよいものにしていくことに努めたい、と吉田町長は言う。

「災害時の避難生活は厳しく、生活に様々な制限がかかるのでストレスも大きい。このため、衛生環境も含めて、いかに快適な環境を整えられるかが今後の課題です。松茂町では避難訓練だけでなく、町民による避難所の運営訓練も行っています。災害発生時には、職員が初期対応に追われ、避難所にすぐには行けないことが予想されます。その際、避難所を速やかに開設するには住民の力が必要です。時間はかかると思いますが、万一に備えて、訓練を積み重ねることが重要だと考えています」と、吉田町長は思いを語った。