「自然エネルギー」と「水素」でGXを先導する

-現在、徳島県はどのような課題に直面しているのでしょうか。

今は徳島に限らず、日本全体が「新型コロナ」「人口減少」「災害列島」という3つの国難と対峙しています。これらの課題を解決するために、徳島県では世界中がしのぎを削る未来技術、GXとDXを駆使していきたいと考えています。

徳島県の飯泉嘉門知事
徳島県の飯泉嘉門知事

-GXの具体的な取り組みについて教えてください。

東日本大震災が起こり、私たちは『エネルギーが有限である』ことを思い知らされました。そこで、2011年7月に設立したのが「自然エネルギー協議会」です。

この組織は、都道府県と企業がメンバーとなって、自然エネルギーの導入を促進することを目的としています。徳島県は発足当時に副会長を務め、2013年には会長に就任しました。そして、国の第4次エネルギー基本計画を皮切りに、第5次、第6次と、政策提言を繰り返してきたわけです。

私は、日本のエネルギー政策を牽引するためには、GXが必要だと考えています。

次世代エネルギーにおける日本の得意分野の1つに「水素」があります。例えば、苛性ソーダの製造など工業生産の過程で副産物として副生水素が発生します。かつては膨大な資金を投じて処分していたこの副生水素を活用するために、東亞合成と国・徳島県が連携して2021年11月に日本初の製造・供給一体型副生水素ステーション「東亞合成水素ステーション徳島」を完成させました。

また、移動式水素ステーションは2015年から稼働していましたが、2021年11月から新たに県内の「道の駅いたの」(板野町)に、移動式水素ステーションを設置いただきました。発災時にはここを救援部隊の拠点とし、水素を使って非常用発電機や燃料電池自動車を動かすことが可能になったのです。

東亞合成水素ステーション徳島」により、水素を安定供給できるようになったため、徳島バスにおいて、中四国では初となる「水素バス(燃料電池バス)」を2台導入し、路線運行を行っていただいています。

一方、徳島県庁では燃料電池自動車を公用車として導入し、庁内の水素スタンドで職員が給水素をし、公用車を動かしています。また、徳島県は日本で唯一、燃料電池パトカーが走る県でもあります。こうした形で、自然エネルギーと水素の分野で先端的な取組みを行い、全国に先駆けてGXを進めています。

徳島県庁と庁内に設置された水素ステーション
徳島県庁と庁内に設置された水素ステーション
徳島県が日本で初めて導入した燃料電池パトカー。車両はトヨタ自動車「MIRAI」
徳島県が日本で初めて導入した燃料電池パトカー。車両はトヨタ自動車「MIRAI」

-DXについては、どのような取り組みを行っているのでしょうか。

私は、マイナンバーカードを管理・保守する「地方公共団体情報システム機構(J-LIS)」の代表者会議の議長を務めています。マイナンバーカードはデジタル時代のパスポートと言われますが、そのヘッドクォーター(本部)ともいえるのが徳島県です。デジタル庁や総務省と協議しながら、マイナンバーカードの活用方法について、着々と検討を進めているところです。

もう1つは、県内全域に及ぶブロードバンド環境の整備です。徳島県では、2002年度から8年をかけ、全県をケーブルTVのネットワークで結びました。しかも、最新の光ファイバー網を整備し、国内トップクラスの光ブロードバンド環境を構築することができたのです。

これを活用して、徳島県はサテライトオフィスの誘致を進め、今ではこれが全国的な動きとなり、総務省の統計数値に取り入れられ、全国の先陣を切っています。サテライトオフィスは県内24市町村のうち美波町が最も多く、次いで神山町と各圏域に広く設置されています。こうした環境を活かし、更には仕事とレジャーを両立させる阿波・徳島ならではの「アワーケーション」を推進しています。

いわばGX とDXの両輪で、日本を牽引しているのが徳島県だと考えています。