共働き世帯が増え続けている。厚生労働省の調査によれば、国内の共働き世帯は1980年に614万世帯だったが、2019年にはほぼ倍の1245万世帯に達している。かつて多数派だった専業主婦世帯をはるかに上回る。背景には女性の就労機会の増加があり、共働き世帯は今後ますます増えることだろう。

こうした共働き世帯をターゲットにした食関連のサービスが最近になって続々と登場している。その多くが、共働き世帯では時間の制約が多いことに注目。調理や下ごしらえに必要な時間を減らそうと、「簡単」「手軽」を売りにする。食のサービスだけに、効率だけでなく「おいしさ」も欠かせない要素だ。ここでは注目度が高い5種類のサービスを紹介しよう。

1)ミールキット

ミールキットは、あらかじめ「ゆでる」「焼く」などの下処理をした食材と必要な調味料をセットにした商品。自宅では再度加熱するなど、ごく簡単な調理で仕上げられる。スーパーやコンビニエンスストアで手に入る商品が多いほか、通販・定期購入商品としても広く普及している。

最近のユニークな動きとして異業種からの参入がある。例えばシャープは、ミールキット「ヘルシオデリ」の宅配サービスを始めた。同社の調理家電「ヘルシオ」「ヘルシオ ホットクック」を使って手軽に料理できることをアピールする。当初は有名レストランの味を自宅で楽しめることを売りにする宅配サービスとして2017年10月に開始。その1年後の2018年11月からは、日常の食事向けの「デイリーコース」も始めた。

シャープが2018年11月から始めている「ヘルシオデリ デイリーコース」のメニュー例(出所:シャープ)
シャープが2018年11月から始めている「ヘルシオデリ デイリーコース」のメニュー例
(出所:シャープ)

コロナ禍で外食が制限されるなか、外食大手と組む動きもある。食品宅配大手のオイシックス・ラ・大地は、電子レンジで解凍するだけですぐに食べられる冷凍食品シリーズ「パッとOisix」を提供するにあたり大戸屋ホールディングスと提携した。メニューのいくつかを大戸屋が監修し、オイシックスが販売する。冷凍食品の提供は「忙しい日はミールキットでも作る暇がない」というユーザーの声を反映したものだという。

パッとOisixの1メニューである「大戸屋 醤油麹チキンの香味ねぎ」(出所:オイシックス・ラ・大地)
パッとOisixの1メニューである「大戸屋 醤油麹チキンの香味ねぎ」
(出所:オイシックス・ラ・大地)

2)時短家電

家電はもともと家事の効率化を目指したものだが、最近は特に「時短家電」と呼ぶジャンルができあがっている。料理の分野でも「時短家電」をうたう商品が続々登場している。

中には「IoT家電」「スマート調理家電」などと呼ばれるスマートフォンとの連携機能を備える家電も製品化されている。使い慣れたスマートフォンから簡単に調理の設定ができるほか、レシピを調理家電に送信したりレシピをもとに買物リストを作成するなどのレシピ連携、あるいは外出先などからでも設定できるものもある。

スマートフォンと調理家電の連携機能を備えるシャープのレシピサービス「COCORO KITCHEN」(出所:シャープ)
スマートフォンと調理家電の連携機能を備えるシャープのレシピサービス「COCORO KITCHEN」
(出所:シャープ)

このほかブレンダーやフードプロセッサーも時短家電のひとつ。食材を簡単に刻んだり混ぜたりすることができ、調理の下ごしらえを簡単に済ませられる。

ブラウンのハンドブレンダーとフードプロセッサー(出所:デロンギ・ジャパン)
ブラウンのハンドブレンダーとフードプロセッサー
(出所:デロンギ・ジャパン)

米国では新興企業が中心となって「時短調理家電」分野が立ち上がった。スマートフォンからの遠隔操作が可能、煮物・焼き物・パスタを同時に予約調理できるオーブンなどユニークな商品を展開する。従来の業界の垣根を超えて、ミールキットの宅配サービスと組み合わせるサブスク(定期購入)型のビジネスを展開している企業も多い。