横浜DeNAベイスターズで働く林優衣氏は、日本のプロ野球12球団で唯一の女性トレーナーだ。一軍のストレングス&コンディショニング(S&C)を担当する。アスリートのパワーやスピードなど筋機能を高め(ストレングス)、柔軟性や身体的な準備を整える(コンディショニング)ことをサポートするのが林氏の仕事である。

リモート取材に応じる林優衣氏(横浜DeNAベイスターズ 一軍トレーナー)
リモート取材に応じる林優衣氏(横浜DeNAベイスターズ 一軍トレーナー)

ベイスターズには18人のトレーナーがいるが、そのうちS&C担当は7人。S&Cトレーニングの方向性は7人で決め、細いところはそれぞれの経験や強みを生かしチームワークを取りながらやっていく。林氏が入団したのは2020年2月。この仕事に就いて1年半ちょっとが過ぎたところだ。

「この資格だなとピンと来た」

林氏は大阪府立高津(こうづ)高校時代、野球部のマネジャーをしていた。選手のサポートにやりがいを感じつつ、一方で「何もできなかった」という思いがあった。

「選手をサポートするといってもタイムを測ったり、ノックのボールを渡したり、ドリンクづくりをしていただけ。トレーニングやケガ予防、ケガをしたときの応急措置というところは何もできなかった」

そんな不甲斐なさを感じていた。

きっかけは進路を決めなければいけなかった高校2年生のときだった。ネットで自分の性格や趣味などから職業の適性診断を試してみると、「スポーツトレーナー」「スポーツ関係の仕事」に向いているという結果が出た。その診断サイトは総合学園ヒューマンアカデミーによるもので、同校は様々な資格を取るための専門学校だった。さっそく担当者に話を聞きに行き、米国にNATA-ATCという資格があることを教えてもらうと、林氏は「トレーナーとして今後やっていくにはこの資格だなとピンと来た」のだという。

NATA-ATCとは、全米アスレティック・トレーナーズ協会(NATA)認定トレーナーのこと。世界でも最高レベルのトレーナー資格と言われ、取得すれば米国のプロスポーツ界でもトレーナーとして活躍できる。しかし、林氏は「日本のプロ野球のトレーナーとして働きたい」と最初から意思を固めていた。子どものころ、阪神戦を見て以来のプロ野球界への憧れがあったからだ。

ケガ予防のために、三上朋也投手の指のエクササイズをしている(写真:横浜DeNAベイスターズ)
ケガ予防のために、三上朋也投手の指のエクササイズをしている(写真:横浜DeNAベイスターズ)