月間約5700万人のユーザーを数える「クックパッド」。今どんなキーワードが人気なのか、話題のレシピは何かなど、様々な視点からレシピを検索し調理に利用できる。掲載されたレシピ数は実に370万を超え、膨大なコンテンツをユーザーが閲覧・利用することにより、ビッグデータが日々積み上がっていく。

そうしたユーザーの行動データから未来を予測し、法人向けビジネスに結びつけているのがマーケティングソリューション本部だ。同本部長でクックパッドJapan執行役員の北井朋恵氏に、ユーザーの行動データにはどんな種類のものがあり、どんな特徴があるのか、最初に聞いてみた。

クックパッドJapan執行役員 マーケティングソリューション本部長の北井朋恵氏
クックパッドJapan執行役員 マーケティングソリューション本部長の北井朋恵氏
(撮影:加藤 康)
自動車販売会社、損害保険会社、外資系保険会社、リクルートを経て2019年10月にクックパッド入社。20年1月マーケティングサポート領域事業本部長(現任)、同9月クックパッドJapan執行役員に就任

3つのデータと2つのメディアデータで分析する

一番代表的なのは「レシピ検索キーワード」だ。クックパッドのホームページで「人気の検索キーワード」というページを見ると、1時間ごとに更新される検索キーワード・トップ20が表示されている。「トップの検索キーワードからは現在の食卓の困りごとが分かる。異常値を見つけ出すことで、これから当たり前になっていく兆しを捉えるのにとても有効」と北井氏は解説する。

「人気の検索キーワード」のページでは、現在検索されているトップ20のキーワードが1時間ごとに更新されている(出所:クックパッド)
「人気の検索キーワード」のページでは、現在検索されているトップ20のキーワードが1時間ごとに更新されている
(出所:クックパッド)

次に投稿された「レシピ」と「つくれぽ」の情報。つくれぽとは、登録されたレシピを基にユーザーがつくった料理のレシピを報告(レポート)するもの。「毎日投稿されるレシピの中でどんなレシピにつくれぽが多くつくかで世の中のニーズがよく分かる。おもしろいのは、レシピタイトルを自由に設定できること。だからこそ”サクサク”、”しっとり”などのオノマトペからもユーザーがどんな食感の料理を作っているのか、また何が人気なのか分かるし、副詞からインサイトも推測できる。これも大切な分析材料となっている」

3番目は「意識データ」。新商品や話題の商品を試して、レシピや感想を応募するクックモニターが現在、約100万人いる。クックモニターにアンケート調査することで様々なデータが得られ、これを意識データと呼んでいる。「例えば、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった時、買ったはいいが使いきっていないものがあるはずと仮説を立て、アンケート調査した。ストックされた食品は使い切ってもらえないと次の購買が生まれない。すなわち、食品会社の直近の売り上げが上がらないということ。そのためにどういうプロモーションをすべきかなど、食品会社に提案できる」(北井氏)

このほかに、ニュース配信から得られるデータも重要だ。2022年2月、北井氏が統括するマーケティングソリューション本部に編集部を置き、「料理の知恵」を盛り込んだ「クックパッドニュース」は毎日8~10本の記事を配信している。記事のPVなどのデータがタイムリーに得られるようになり、「どんな食のブームがくるか、いっそう分かりやすくなった」と北井氏は話す。PVが取れる王道のニュースばかりだと新しいユーザーを獲得できなくなるため、新たなマーケット創出につながるチャレンジ記事を交ぜることが大切だという。

外部の出版社と連携し、クックパッド監修のムックも出版しており、その売れ行きも重要な指標になる。21年12月に「オートミールでダイエットレシピ」を発売したところ、たびたび重版がかかり、「お米やパスタなどの主食の中にオートミールがきっちり入ったということが理解できた」と北井氏は話す。

2021年12月発売のムック「オートミール」(出所:クックパッド)
2021年12月発売のムック「オートミール」
(出所:クックパッド)

データを活用して成功可能性を高めるためのポイントは、北井氏は次の3つだと指摘する。

  1. 物事のファクトだけでなく、それが起こった背景や原因をブレイクダウンすると、情報は陳腐化しない。
  2. 未来を予測する時、大事なのは世の中の動きや消費者の価値観を踏まえて筋の良い仮説を立ててデータを見にいくこと。
  3. 複数のビッグデータが存在した時、使うデータの価値や特性、効能を見極めて活用する。