教育とICT Online 特別座談会 これからの子供たちのためのICT活用教育 第1回「デジタル教材とEdTechの活用」 特別協力:日本マイクロソフト

 「GIGAスクール構想」により児童・生徒1人1台のデジタル端末と高速の校内ネットワークの整備が進み、新型コロナウイルスの感染症対策で多くの教育機関が遠隔授業の導入を急ぐなど、学びのICT活用の流れが一気に加速している。

 教育現場では、「情報活用能力を、言語能力と同様に『学習の基盤となる資質・能力』と位置づけ、学校のICT環境整備とICTを活用した学習活動の充実」を明記した新学習指導要領の全面実施が、小学校(2020年度から)、中学校(2021年度から)、高等学校(2022年度から)と進む。

 2024年度には小学校の教科書改訂を契機に学習者用デジタル教科書の本格導入を目指している。デジタル教材の活用が進むことで、ICT活用教育が一層進むのは間違いない。

 こうした流れを受けて日経BPは、「これからの子供たちのためのICT活用教育」をテーマに、教育関係の有識者が議論する3回シリーズの座談会を企画した。東京大学教授、慶應義塾大学教授の鈴木寛氏を座長に、日経BP コンシューマーメディア局の中野淳局長補佐(日経パソコン発行人)が副座長を務め、ICT活用教育の推進に向けて、可能性や課題、課題の解決策などを議論する。

 第1回は2020年12月4日、「デジタル教材とEdTechの活用」をテーマに下記の出席者で、オンラインを交えて実施した。

座談会「デジタル教材とEdTechの活用」出席者(順不同、敬称略) 座長 東京大学教授、慶應義塾大学教授 鈴木寛 副座長 日経BP コンシューマーメディア局長補佐(日経パソコン発行人) 中野淳 パネリスト 経済産業省 商務・サービスグループサービス政策課長(併)教育産業室長 浅野大介 東京学芸大学 ICTセンター 教授 森本康彦 修道中学校 修道高等学校 中学教頭  藏下一成 日本マイクロソフト 業務執行役員 文教営業統括本部 統括本部長 中井陽子
「デジタル教材とEdTechの活用」をテーマに議論した
座長 東京大学教授、慶應義塾大学教授 鈴木寛氏

鈴木 2020年度は、GIGAスクール構想により小中学校の児童・生徒1人1台のコンピューター端末の配備と、高等学校を含む高速の校内ネットワークの整備が始まりました。

 時を同じくして広がった新型コロナウイルスの感染症対策としても、GIGAスクール構想で整備されるICT環境は大いに寄与するでしょう。ただ、端末やネットワーク環境を導入すること自体が目的ではありません。これを活用して子供たちの学びを向上させなければ、せっかくのICT環境も宝の持ち腐れになってしまいます。

 私自身、当時の通商産業省(現在の経済産業省)で1994年4月から3年間行われた「100校プロジェクト」と1997年4月から1999年3月まで行われた「新100校プロジェクト」に関わりました。このプロジェクトでは、通商産業省と文部省(現在の文部科学省)が共同で、全国111の学校にインターネット環境を整備し、初等中等教育での情報活用に取り組みました。2000年頃には教育用コンピューターの整備計画にも携わりましたが、せっかくのパソコンを壊さないようにと学校で大切にしまってしまい使われなかったという苦い経験もしました。

 このように実は日本は、教育現場のICT活用には早くから取り組んできたのですが、経済協力開発機構(OECD)が実施した2018年の「生徒の学習到達度調査」(PISA)や米ハーバード大学の調査では、日本の教育現場のICT活用率は調査国中で最下位の項目がいくつもあるという残念な状況にあります。

 新型コロナウイルスの感染状況もまだまだ予断を許さず、オンライン授業と対面授業の最適な併用法や、デジタル教材やEdTechの活用など、教育現場にはさまざまな課題が山積しています。

 こうした課題の解決に向けて最先端で取り組んできている学校の方々、政策立案の責任者、先端的なICT企業に集まってもらい、全国の学校で参考になるような議論をしていきたいと考えています。

副座長 日経BP コンシューマーメディア局長補佐(日経パソコン発行人) 中野淳

中野 GIGAスクール構想を機に、小中学校では児童・生徒1人1台の学習用コンピューターが導入され、高等学校も含めて高速の校内ネットワークが整備されます。新型コロナウイルスの感染症対策としてオンライン授業やデジタル教材の活用も進んでいます。また、1人1台端末によって、学びの記録を蓄積して活用する「eポートフォリオ」のような新しい取り組みも進むと考えられます。一方で、こうした取り組みを進めていくには、必要な教材をどうやって活用していくのか、教育現場の利用をどう広げていくのかなど、多くの課題があります。

 この座談会では、ICT活用教育の可能性や課題、課題の解決策について、有識者の方々と議論していきたいと考えています。