「美術」の授業でプログラミングを学ぶ

パネリスト 修道中学校 修道高等学校 中学教頭 藏下一成氏

藏下 まず、私が所属する修道中学校・修道高等学校で実施している「美術」の授業について紹介します。美術というと油絵を描くなどの活動を思い浮かべますが、2019年度は小学校などでも活用されている無料のプログラミング言語「Scratch」を使い、2020年度はオープンソースの初心者向けプログラミング言語「Processing」を使って、プログラミングを活用した美術の授業に取り組みました。修道では、教科「情報」でも、レゴのプログラミング教材「マインドストームEV3」を2人の生徒に1台ずつ活用して授業を行なっていますが、美術でもプログラミングを学んでいます。

修道中学校・修道高等学校 中学教頭の藏下一成氏は、「美術」の中でプログラミングを学ぶ授業について紹介した。6つのステップを通じて生徒が授業の中で何を学び、目標としているかを明確にする

 2019年度の「Scratchでビデオアート作品をつくろう」という第4学年(高校1年)の単元では、授業の前に学習目標分類表(改訂版タキソノミー・テーブル)を使って、生徒を主軸にした授業と評価のデザインをしました。形成的評価を行う上で「記憶」「理解」「応用」「分析」「評価」「創造」という6つのステップを通じて生徒がどういう学習活動をしていくかを明確にします。

 実際の授業では、米ニューヨーク近代美術館(MoMA)で1980年代後半に開発された、アートを通じて鑑賞者(学習者)の思考力とコミュニケーション力を育成する「Visual Thinking Strategy」(VTS:対話型鑑賞)を行いました。

 この作品の中で何が起こっているか、作品のどこからそう感じたか、ほかに発見はあるかといった質問から、作品について考えていきます。作品を作品群に分類したり、同じ分野の作品や作家を探したりといったことを、各生徒がパソコンを使ってインターネット検索をして、チームごとに発表していきます。そのポートフォリオを成果物として提出するという流れです。

 こうした鑑賞の後で、Scratchでどんな作品を作りたいかという設問を出し、自分の作りたい作品のためにどのようなコードを書くかを考え、作品を作っていきます。出来上がった作品を発表して相互評価し、さらに改良していきます。作品ごとにQRコードをつけて、文化祭の時に来校者が自分のスマートフォンやタブレットなどで鑑賞できるような展示もしました。

2020年度の授業では、プログラミング言語のProcessingを使って幾何学模様を組み合わせたデザインをするという課題を実践した

 2020年度は高校2年になった同じ生徒を対象に、Processingで「テキストコーディングに挑戦」という授業を実施しました。テキストのコードを入力していって出来た幾何学模様を組み合わせてデザインするというもので、最終的にハンカチにプリントアウトして生徒さんにお渡ししました。